【議会の自殺】
こども病院人工島移転 議会開会前にすでに結論!
論戦を前に「市長案に賛成」?!
福岡市議会は行政のチェックという最重要の責務を忘れた機関なのではないだろうか。
もちろん、すべての議員が責務を放棄しているわけではないことをお断りしておくが、議会での論争もなく、「はじめに人工島ありき」がまかり通る「会派」中心の議会運営には、その存在意義に疑問を呈せざるを得ない。市民注視の問題について、議会の論戦前に「会派の会議」で結論が出てしまうという事態に、市民からの批判も出ている。
福岡市は、患者家族をはじめ、多くの市民の反対を無視し、強引にこども病院の人工島移転を進めてきた。しかし、その最終決定権を持つのは、市民の様々な意見を代弁する使命を負った市議会であることは言うまでもない。もちろん、行政の暴走をチェックするという重要な役割も有している。
その福岡市議会の定例会は今月12日からの予定である。最大の注目は、こども病院の人工島移転に要する土地取得のための予算を認めるかどうかであった。この議案が認められなければ、こども病院の人工島単独移転という吉田市政最大の愚行は沙汰やみになるところだったからである。過去形で表現すると、「これから議会が始まるのにどうして?」と思われるだろうが、実は始まる前から結論が出てしまっている。
みらい福岡、そして自民党といった各会派が、議会開会前に市長案に賛成するという意思表示を、報道各社に対し明確に示してしまったのである。信じたくもないが、弱者の見方を看板にしていたはずの公明党市議団も、事実上、同案に賛成の意向だとされる。議会の論戦を前に、福岡市議会はその機能が麻痺してしまったようだ。もちろん、福岡市政史上最低との評価もささやかれる吉田宏氏を市長に担ぎ出した上、こども病院移転を当初から支持している民主党は、最も罪が重いということを忘れてはなるまいが・・・。
市がこども病院人工島移転の基本構想案を正式に公表したのは5日の会見においてであるが、MAX市政ニュースで報じたとおり、4日午後には市政記者クラブに対して同案を示し「記者レク」を行なっていた。自民党などの各会派に対しては、先月から何度も市側の方針を説明していたが、これとは別に「闇交渉」が存在することも明らかとなっていた。
「闇交渉」は最大3ヘクタールとしてきた人工島内の移転用地面積を拡大し(当初は4ヘクタールで話が進んでいたとされる)、自民党が主張してきた市立病院の「統合移転」の可能性を担保し、とりあえず市長案を受け入れるという、市民無視の妥協案である。
その後、本ニュースで起債協議のための総務省提出書類が「人工島」しか想定していないことや、面積を3.5ヘクタールとしていたこと等も暴かれる。税金を使って作らせた一連の「業務委託報告書」からは、「はじめに人工島ありき」の証拠ばかりか、市がこども病院現地建て替えの工事費を大幅に水増ししていた事実なども明らかとなっていた。
しかし、そうした「市民を騙した吉田市政の罪」を断罪することなく、「闇交渉」の指摘通りに妥協が成立してしまったことになる。5日の基本構想案発表(同日14時)前、しかも会派の会議(同日13時から)を開く前に、自民党市議団が市長案を否決しないことが明らかとなっていたのである。同日の朝日新聞夕刊で自民党市議団の動向が1面トップで報道されたのがその証左でもある。自民市議団の会議(同日13時から)は、夕刊締め切りの数時間後なのである。まさに「密室」において、ことが運んでいるとしか思えない。議会の自殺行為である。
つづく
【特別取材班】
こども病院問題、市民の関心高まる
署名増え、自治会単位でも反対運動の動き
《市民の反応「怒りの声」》
福岡市立こども病院の人工島移転問題は、12日から始まる議会審議を前に、反対世論が牽引する形で市民の関心も高まってきているようだ。住民投票条例の制定に向けて署名活動をしている患者家族は「署名して頂ける方やこの問題に関心を持つ市民は増えている。ほとんどの人が怒っている」と手応えを語る。市内では自治会を挙げて反対運動に取り組む地域も出てきた。
住民投票条例制定に向けた署名活動は、先月28日に始まった。こども病院の患者家族を中心とした「福岡市立こども病院人工島移転の是非を問う住民投票を実現させる会」が毎週土・日に天神岩田屋前や西鉄大橋駅前などの街頭に立ち、署名を呼び掛けている。3万人を目標に、主婦や学生を中心に草の根の署名活動が展開されており、これまでに署名簿(10人分が書き込める)が4000冊以上刷られた。すべて回収できれば目標を超える。
佐野寿子代表は「毎回たくさんの人に署名してもらっている。わざわざ天神に印鑑を持参して来てくれる人もいた。『福岡市はいかんよね』『市長はうそつき』『なんで人工島』といった怒りの声がほとんど。関心が高まっていることを実感します」と話している。
市議会の多数は、市の人工島移転に賛成する意向を示しているが、「議員さんも市民の声を聞いて再考してほしい」と最後まであきらめない姿勢。署名を集める受任者も募集しながら、9月28日まで活動を続け、条例制定の直接請求につなげたい考えだ。
「福岡市立こども病院人工島移転の是非を問う住民投票を実現させる会」
http://www.happy-heart-fukuoka.org/jyumin.htm
《解散風、こども病院問題で民主に逆風》
こども病院の人工島移転問題は、国政で解散風が吹き始めた中、吉田宏市長を推す民主党福岡県連にとって、強い逆風になりつつある。
報道によると、新総裁の決定後、10月上旬にも衆院解散、10月28日公示、11月9日の投開票というスケジュールが有力視されている。政権交代を目指す民主党にとって福岡は、前回敗北した小泉郵政解散時の巻き返しを図りたい重点区ばかり。
しかし、吉田市長を推した民主党市議団が、早々にこども病院の人工島移転を容認したため、特に市内では「民主=人工島」のイメージが先行、「市議会の問題が国政にも波及し始めている」と懸念する民主党筋の声もある。市内を選挙区とする民主党候補の陣営にも「市長は何とかならないのか」との苦情が多いという。
一方で、共産党が気を吐いている。市議会では、民主、みらい、公明、自民の各会派も人工島移転を容認する方向で進んでおり、移転反対の受け皿となる会派がない。そんな中、共産が「追い風」とみて攻勢をかける。「こども病院の人工島移転に断固反対。人工島移転を真っ先に認めたのは吉田市長を推した民主党だ」。8日朝、天神の街頭、ビラ配りや街頭演説で訴えると、足を止めて耳を傾ける市民も少なくなかった。
こども病院の人工島移転問題は、反対の世論が高まり注目が集まるほど、少なからず国政選挙にも影響する問題となってきている。
【豊田伸】
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