狂った市政・不幸な市民
こども病院で露呈した市役所・議会の実相
福岡市立こども病院の人工島移転問題は、今週12日からの市議会定例会で、正式に決定する。これまでの吉田市政の動きを振り返ってみよう。
まず、人工島事業の見直しとされた「検証・検討」からスタートしたものの、市立病院の統合移転を推進するためのアドバイザー契約を結んでいた業者に「検証・検討」の仕事を委託するという考えられない実態が明らかとなった。
また、市民からの要望が多かった現こども病院の現地建て替えを、最初から否定する方向で作業を進めたうえ、建て替えの費用を「ゼネコンに聞いて」水増し、業者見積もり85億5千万円を、市側が128億3千万円にしていたことなど、常識はずれの杜撰な仕事ぶりも市民の知ることとなった。
極めつけは、起債協議のため総務省に提出した書類だ。昨年9月に提出した段階で、移転先を「人工島」に絞っていた。用地面積も、新病院基本構想案で発表された「3.5ヘクタール」と記されていた。
つまり、市民には「まだ決まっていない」と言いながら、市役所内部では「人工島」に決め込んで作業を続けていたということになる。しかも、国に対し、移転先や面積、工事費用等を提示していたのであるから、たちが悪い。
「市民をだました市長」として、市政史上に残る最低の市長であり、リコールの対象になって当然だろう。
一方、この最低の市政をチェックすべき使命を負った市議会は、一部の議員を除き、市民ではなく「会派」や「議席」のために働いていることを満天下にさらしている。
市議会での論議を前にして、野党であるはずの保守系会派が次々と「市長案に賛成」の意思表示をしてしまったのである。何のための議会なのか。何事も密室で事が決められているのが今の福岡市だということになる。「狂った市政」としか表現しようがない。不幸なのは市民である。何百億円という税金を投入する事業であるにもかかわらず、市民の意見を聞くどころか、役人・議員と銀行の都合だけで福岡市が間違った方向へ進んでいるのだから…。
将来、こども病院が人工島に移転したことで、万が一の間違いが起きた場合、また計画案で試算しているよりも莫大な赤字病院となった場合、誰が責任を取るのか。
もちろん、そのころ吉田宏氏は市長ではないだろうし、チェック機能を果たさない議員も淘汰されているはずなのだが…。
【特別取材班】
2,産科部分の経営収支が大きな赤字となります。
ハイリスク分娩では常に産科医2~3名が対応せざるを得ませんが、計画書によると常勤の産科医は4名ということになっています。出産は24時間体制ですから2日に1回の当直となり非現実的です。最低でも6~8名の産科医が必要ですが、それでも3~4日に1回の当直を余儀なくされます。しかし、昨今の産科医不足で6~8名もの産科医が集まるかどうか疑問です。
日本の産科医不足は深刻で、改善の兆しは全くありません。病院を新築するのは簡単ですが、産科医を育てるのは時間がかかり産科医志望が少なく大変難しい問題です。その理由は過酷な労働条件、医療訴訟が多い、自由な時間がとれない、等のためです。産科医不足と同様に麻酔科医、新生児科医の不足も深刻です。この他も助産師なども15~20名は最低でも必要であり、こちらの確保もたいへん難しい問題です。
市の説明会などでは取り扱う新生児数から年間300例の分娩を予想し、計画書の病床数もそのような数字になっています。しかし、ハイリスク患者の母胎搬送できるものについては最大でも50~100例程度と考えます。経営的には、この他に
正常分娩が年間100例程度なければ赤字は膨らむばかりです。人工島は中心部から偏在し交通アクセスも悪いことから患者さんは少なく、正常分娩を扱わずハイリスク分娩だけを対象とした新病院の周産期医療の収支は膨大な赤字が予測されます。
福岡市の産婦人科医会は、来年予定の産科医療保障制度の導入のため、妊婦健診、分娩費などの慣行料金の大幅な値上げを予定しています。妊婦さんの負担は大きくなり少子化対策にも影響が生じる事が予測されます。福岡市では妊婦健診の無料券が5回発行されていますが、市内の全ての妊婦さんは東京都と同様に14回の無料券を発行をするべきです。市は税金の無駄づかいをなくし、少子化対策・高齢者医療、今後ますます増え続ける発達障害児の福祉・教育など予防医学と健康にもっと目を向けるべきです。
福岡市の調べでは、発達障害児の年次推移は、H1年33人、H5年50人、H10年182人、H15年218人、H19年263人、この18年間で発達障害児は驚異的な速さで増加しています。H19年では、発達障害児とその他の障害児を合わせると年間600~700人、10年後には年間1000人の障害児、つまり福岡市で生まれる子供の12~13人にひとりが障害児と診断されることになります。少子化が進み、このまま財政赤字が膨れると10~20年後の福岡市はとんでもない財政危機に陥っていることが予想されます。
3,障害は正常分娩を扱える施設でなければなりません。
全国的に産科医不足は深刻な問題で、当面は改善策が見いだせないと思われます。福岡市内には2つの医学部がありますが、大学病院でも産科医不足は深刻で他施設に医師を派遣する余裕が無いのが実情です。福岡市立市民病院産婦人科が閉鎖になっていることでもお分かりいただけると思います。出産を扱う開業医も高齢化し、後継者も少なく、遠くない将来に福岡市でも「お産難民」が出てきます。このような状況を踏まえて、妊婦さんが気軽に通える場所に建設すべきです。
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