既報のように、9月9日から3日間行なわれた柳川市議会一般質問は、ピアス社跡地と旧柳川ホテル買収に係る有印公文書偽造問題に議論が集中した。3日間で13議員が発言に立ったが、ピアス社跡地問題では4名が登壇。ピアス社問題が解決どころか、事態の収拾が図られず解決の目処がたっていないことを改めて印象づけた。
《ピアス社跡地問題》
●6億円売却で話がついた!?
10日の質問でY議員は、石田市長(当時町長)のピアス社跡地買収にまつわる疑念を質した上で「ピアス社跡地がすでに建材置き場として買い取られることが、建築関係業者によって決まっており、その価格は6億円以上との情報が流れてきているが本当か」と質問。石田市長は「そういう事実はない。だれがそういう情報を流しているか知らないが迷惑な話だ」と否定した。
しかし、(弊社がすでに報じているように)跡地はN社が購入すると同社社長自らが明言しているようにまんざら「うわさ」だけとは言い切れないところがある。調停がまとまるということは市側が「損失」をすることになり、もし6億円で売却ということになると、損失分を民間が補填することになり、市長は市に損害を与えたことにはならない、といううまみ―利点がある。
しかしこうした、みえみえの売却劇を市民が許すのかどうか。もちろん議会の同意が必要となり、議会では通らないことはこれまでの議論をみても明らかであろう。こうしたうわさが流れること自体からも、市長周辺にあせりがあることを指摘できる。
●調停の見通しは?
同じく10日、質問に立ったS議員は、「ピアス社との調停交渉の現状と見通し」に絞った。
S議員は、ピアス社の問題が長引いていることは柳川市にとって不名誉なことだ、と前置きし、こうした事態を招いたのは「購入に際しずさんな契約と事務上の不手際があったからだ」と指摘し、調停の現状をひとつひとつ質問した。その中で3月まで庁舎長であったT氏が市側の代理人として調停に参加していることの問題点を指摘したが、市側は「非常勤嘱託員も広
い意味で代理人だ」という拡大解釈で逃げ切った。
さらにS議員は、「5回も調停が行なわれており、ピアス社との対立が解けないので本裁判に訴えるべきだ」と詰め寄ったが、副市長は「相手もあることだからなんとも言えない。全力で調停にあたっていく」と平行線のままであった。
●新事実!「不動産鑑定評価でアスベストについてピアス社に伝えてあった」
11日の質問に立ったO議員。調停の中身を明らかにしない市側に対して「調停の内容を明らかにすることが市民の利益を守ることになる」と迫るが、市長、副市長は「無用の混乱を起さないために内容については明らかにできない」と答弁を繰り返した。さらにO議員は「調停不成立の場合はどういう責任を取るのか」と質したが、市長は「調停を止めるということもあるし相手の出方をみて対応していく」との答弁に終始した。
そうした中でO議員は、次のような事実を突きつけた。O議員によれば、ピアス社跡地の不動産鑑定を行なった会社が、契約当時に本来不動産鑑定書にアスベストの存在を評価に入れるように変更になっていることをピアス社に伝えてあることが、判明したというものである。そのことを当時の鑑定会社の担当者とO議員との間で確認できたという。
つまり、2002年7月に国土交通省次官通達「不動産鑑定評価基準・留意事項」が出されおり(施行は03年1月1日)、ピアス社と旧大和町との契約は03年2月だから、ピアス社はそれに違反したということになる。ピアス社はアスベストの存在に気づきながらそれを隠して町と契約するという重大な犯罪を犯した可能性があることを指摘したのだ。
これに対して市側は「十分な関心をもった。そのことを含めピアス社に対応していく」というはっきりしない答弁がなされた。
11日の一般質問の終了後全員協議会が開かれ、O議員の提起に対する協議が行なわれた。この中で市側はO議員に対して、不動産鑑定会社の相手先の名前を教えて欲しいと発言した。O議員は「それぐらいは自分たちで調査して欲しい、私たちの質問にはまともに答えず、都合の良いことばかり言う」と返答。全員協議会は具体的な結論を得ることなく6時半に終了した。全協終了後市側を訪ねた田中議長は、問題が進むように市として「不動産鑑定会社との間で事実の確認を進めていくよう」に要請を行ない、議会最終日にその結果を受けて再度全協を開催することで落着した。
このようにピアス跡地をめぐる状況が変化しつつある。ピアス社問題解決にはピアス社の出方の問題はあるにしても、市側の一貫した姿勢とスピード感をもった対応が鍵を握っている。アスベストの存在を市長が知らなかったことが本当ならば、ピアス社に市長がだまされていたということだ。市と市民の利益を最優先で守る、という市長の方針と決意が確認されたら反市長派ともども、議会が市を後押しして解決の途が開かれていくものと思う。
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