福岡市東区の人工島に巨大コンベンションセンターを建設する動きがあることをスクープ報道していたが、ここに来てその実態が見え始めた。
巨大コンベンションセンター建設は、福岡県が中心となって進める事業とされていた。子ども病院人工島移転とセットになった都市高速延伸問題(県の協力なしでは事業化されない)を盾にとって、市側に協力を求めるという、一部県議の動きがあることを報じていたが、建設そのものを福岡市にやらせるたくらみがあるとの情報も広がっていた。
18日、そうした情報を裏付けるような驚きの質問が、福岡市議会9月定例会の本会議で飛び出した。自民党市議団の大物議員・津田隆市議が、コンベンションセンター建設について福岡市が積極的にやるべきとの趣旨の発言をしたのである。
ごていねいに、留守家庭こども会の無料化、こども病院人工島移転問題などで迷走する吉田市長に、ねぎらいとも思えるような言葉をかけ、新空港建設やコンベンションなど、自民党が喜ぶ「大規模開発」なら協力を惜しまないと秋波を送った。
これに対し、「身の丈にあった街づくり」だの「新空港はいらないと明言する」などと訴え、大型開発をやめると公約して市長に当選したはずの吉田宏福岡市長は「県の動向と歩調を合わせたい」と前向きともいえる答弁、噂される自民党との蜜月ぶりを見せ付けることとなった。
津田市議はコンベンションセンターの用地について「3ヘクタール以上が必要ならアイランドシティの検討も必要」として、これまた「巨大コンベンションセンター人工島に建設」との弊社報道を裏付ける発言を行なった。
さらに、「市の展示場構想は今でも生きている」としたうえで「県・県議会が動くのであれば、市に新たなコンベンション施設をお願いしたい」とまで言い切った。市議会関係者からは、津田市議の真意は「人工島の土地を格安で差し出せということ。一部県議と連動しているとしか思えない」との感想も聞かれる。報じてきた県議会関係者の動きと連動していれば、まさにお先棒を担いだ格好となるが、福岡市政への県議の介入を許すことにもつながる。じつに、おめでたい話である。
こども病院は取り引き材料との指摘も
山崎市長時代に大型開発の見直しがなされ、国際会議場の規模縮小をはじめ、多くの「無駄な公共事業」が中止に追い込まれた。しかし、一部の自民党関係者にとっては、先日報じた「国際会議場横へのホテル誘致」や「巨大コンベンションセンター建設」は、以前からの悲願であるという。
こども病院人工島移転問題で窮地に追い込まれていた吉田市長を助け、巨額の税金を投入する「身の丈にあわない」事業を承知させるが如き手法は、市民無視の暴挙である。大型開発をやめるといって市長になったはずの吉田宏氏も、断るどころか前向き発言である。ここまで市民をバカにした市政はリコールの対象以外のなにものでもない。
【特別取材班】
※記事へのご意見はこちら