市議会委は可決　こども病院人工島移転
　　市民の訴え議員に届かず

　福岡市議会は22日、委員会審議があり、市立こども病院の人工島移転に関する議案を可決すべきものとした。議案は市が約47億円で博多港開発から病院用地を買い上げるもので、これで24日の本会議では委員会の報告に沿って可決する見通しとなった。

　第二委員会（金出公子委員長、13人）では、人工島移転に反対したのは共産党の中山郁美議員とネットワークの野尻旦美議員のみ。賛成した議員は、自民党の今林秀明、友納博美、南原茂、稲員大三郎、公明党の松野隆、川辺敦子、大石修二、民主の阿部正剛、みらい福岡の三角公仁隆、水城四郎―の10人だった。

　新病院は、弱者切捨てでもあるホテル並みの個室使用料金や、患者数を過大試算するなどした甘い財政シミュレーション、「人工島移転を見直す」としてきた市長の公約違反、疑惑だらけの検証検討作業などが明らかになっており、人工島移転を見直すよう、17万を超える署名や医師有志による提言書も出された。

　しかし、自民、公明、民主、みらい福岡という市議会各会派は、結局、市民の悲痛な訴えや医師の提言に耳を貸さなかった。委員会での質疑は、共産とネットワークの議員だけが孤軍奮闘。特に市長を推した民主は議案質疑もなく、議案を精査しようとする姿勢すらみられなかった。

　市長は操り人形化！？

　また今回は、保守系の自民、みらい福岡、公明の各会派が市長の路線とどう対峙していくのかが注目された。窮地に落ちていく市長に貸しをつくって操ろうと、保守系会派を動かしたのは市ＯＢだった。

　留守家庭こども会の無料化を否決され、市政運営がおぼつかない吉田市長。ここでこども病院の人工島移転まで否決されれば、自らの「政治生命の危機」と感じたのか、自らの政治姿勢で勝負に出るのではなく、自民党との裏交渉に手を染めた。

　これによって取得する用地面積は3.5ヘクタールに拡大し、自民党が主張する統合移転への含みを残した。そうした交渉には市役所ＯＢが尽力したといい、「市長は自民党やＯＢの操り人形」という声もささやかれる。市長が患者家族や市民に向けた説明会に１度しか出席しなかったのもこうした周囲の助言に従ってのことという。

　人工島移転の是非を問う住民投票条例の制定を直接請求するための署名活動（今月28日まで）を行なっている患者家族らは、「議員に思いが届かず残念。でもあきらめない。子どもの命が懸かっている。あきらめられない」などと話している。今回、ろくに議案の精査もせずに賛成を決め込んでいた議員たちを、市民はしっかりと見ている。

　
　

　
　

　　政治家に贈ることば
　　「うそつきは泥棒の始まり」

　「うそつきは泥棒の始まり」。子供のころ、そうした言葉で、人としての生き方を教えられた方も多いことだろう。

　「うそをついたら閻魔様に舌を抜かれる」とも言われたものだ。　時として他者を救う「うそ」もあるかもしれないが、これは極めて稀なケースである。　１対１の「うそ」の中でも、特にだまして金をまきあげることを「詐欺」という。　1人の人間が、権力をかさに百数十万人の市民をだまし、巨額の税金を使いまくる行為は、どのように表現すべきだろうか。

　福岡市と同市議会は、多くの市民の反対を無視して、こども病院を人工島に移転することを強行する。
22日の委員会採択に続き、24日の本会議で移転のための土地取得を認める方向だ。

　吉田宏福岡市長は、平成18年の市長選挙で「人工島事業の見直し」「こども病院の人工島移転を白紙に戻して見直し」「大型開発にストップをかける」などという趣旨の訴えを行い、多くの市民から期待をもって迎えられた。

　就任から1年も経たぬうちに、大半の公約を反故にし、「人工島事業は先頭に立って推進」今年7月には「こども病院は人工島に」と、およそ選挙時の吉田宏氏とは別人の如き決定を、平然と発表するようになった。
　
　「公約違反」あるいは「マニフェスト無視」とは、つまり「うそつき」ということである。子供に政治家、特に福岡市長について語るとしたら「うそつき市長」と言わざるを得ない。　冒頭の人生訓に従えば、うそつき即ち泥棒ということになるが、これも当たっているのだろうか？。

　こども病院の人工島移転には約200億、都市高速延伸に300～400億かかるというが、最終的にはすべて公費。つまり税金が使われることになる。

　「盗っ人（泥棒）に追い銭」とは、こうしたケースだと、合点してしまった。「子どもの命を守る！」「少子高齢化対策に全力！」。ほとんどの市議が、そうした訴えをしていたと思うが、こちらも、市長と似たり寄ったりのようだ。だからこそ、こどもの命が危険にさらされることが確実な「こども病院の人工島移転」を容認することになるのだろう。

　「うそつきは泥棒の始まり」。福岡の政治家に贈ることばである。

　
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