佐賀銀行と新生銀行との密なる関係?
今回は、新生銀行と佐賀銀行の関係を、シリーズ(2)に続き追ってみる。
新生銀行は9月16日、リーマン・ブラザーズ(以下、リーマン)の日本法人に対して無担保貸付250億円、社債90億円ほか最大で計380億円の焦げ付きが生じる見通しであることを発表した。サブプライムローン問題が証券市場で発覚してから1年以上経過していたが、380億円もの債権の回収について、打つ手なしであったろうか。リーマンの日本法人も民事再生法の適用を申請したことから、380億円の債券は紙切れ同然となろう。新生銀行には外銀特有の積極姿勢は窺えるものの、仕組預金等デリバティブを組み込んだ商品をいかにも銀行預金と同等であるかのような装いで販売、中途で解約した場合には元本割れが発生していた。そのため、購入者に対する説明不足を理由に、監督官庁から注意を受けたりもしている。
一方、佐賀銀行は、鳴かず飛ばずの状態が続いている。前回の記述のとおり、安全第一主義を取っているのであろうか、地元の企業は無視。地方公共団体の財政破綻を誘発させるかのような融資を、積極的に行なっている。地元に数多く存在するはずの融資先を成長させることなど、眼中にないようである。その結果、肝心の営業利益は2006年3月期が153億9,200万円、07年期で125億8,400万円(前年比20%ダウン)、08年期74億7,200万万円(前年比40%ダウン)と漸減しており、現在の地場経済の状況からしてみれば、利益の低減に歯止めがかからない状態であると言える。しかも、利益を最優先して貸付金利を上げれば顧客が他行へ逃げ、強行すれば不良貸付先が増加するというジレンマがある。
上記の両社が、(株)東峰住宅の売却で手を結んだから、不思議である。
両社の関係が蜜になったのは、東峰住宅のM&Aからであったと思われる。しかし、このM&Aに当初から携わっていたA氏は、次のとおり証言している。
「佐賀銀行の実質管理下にある東峰住宅の売却を佐賀銀行幹部から依頼され、その購入先を見つけるため東京や名古屋・関西へ何回も出かけ、秘密裏に購入候補先を探していたが、その最中、以前話を持ち込んだ名古屋のU社を辞め、別の不動産会社に移っていたB氏から『新生銀行が九州進出を図ろうとしているデベロッパーを知っているので、新生銀行側と会ってください』との要請があった。A氏は早速、新生銀行福岡支店を訪問。新生銀行側は九州進出予定企業が『穴吹興産』であることを表明。A氏は『穴吹興産』が上場企業であることもあり、東峰住宅とは良縁と思い、新生銀行側に『穴吹興産が九州に進出するに当たり、東峰住宅を購入しないだろうか』と持ちかけた。新生銀行側も乗り気になり、買収のための融資もできると喜んでいた。
しかし、その後新生銀行は、A氏を無視して佐賀銀行へ直行、M&Aを2社間で素早く実行してしまった。」
A氏は当然激怒。新生銀行福岡支店へ乗り込むも、新生銀行側がノラリクラリと対応するうちに、当のM&A担当者も転勤してしまった。
佐賀銀行側もA氏に対して、東峰住宅のM&Aの話は、同行が東峰住宅の売却に当たり、アドバイザリー業務委託契約を締結しているN社から、穴吹興産―新生銀行のラインで来たのだと、嘘を付く格好となっていた(A 氏が即N社に確認したところ、そのような事実は全くないとの確認済)。
A氏は当然、このままでは納まらず、新生銀行等を相手に訴訟を起こしている。
問題は、新生銀行ばかりでなく、佐賀銀行にもある。A氏に対しては、東峰住宅の売却を佐賀銀行役員が直接依頼しており(秘密保持契約締結済)、A氏がその意向に沿って動いていることを百も承知しておきながら、新生銀行から直接話(A氏を無視した穴吹興産の東峰住宅購入話)を聞き、事に当たったのである。
その後佐賀銀行は、サブプライムローン貸付に見るように、アメリカ型金融を地で行く新生銀行によほど親しみを寄せたのであろうか、アーサーホーム(株)の売却へと進む。
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