大牟田、柳川、筑後、八女、みやま市などを選挙区とする福岡7区は、全国的にも注目されることになった。野田国義・八女市長(50)が25日、小沢一郎・民主党代表と共に会見し、福岡7区から民主党の公認候補として出馬することを正式表明した。
注目されるのは、言うまでもなく自民党選対委員長で派閥の領袖でもある大物議員、古賀誠氏(68)へのまさに刺客になるからである。会見で小沢代表は「古賀氏は自民党現政権の責任者だ。7区の戦いは最も重要。なんとしても勝たねばならない」と述べ、可能な限りの支援するとした。
当日会見場に来ていた市民のひとりは「これで互角の勝負になってきた。自民党支持者が割れていくことになる。特に野田氏は女性に人気がある。夫が妻に『古賀さんに投票しろ』と言ったら以前は家族の票は固まっていたが、いまはそうではない。野田さんの出馬でそれが加速するだろう」と語り、保守基盤の地割れで接戦になるだろうと予想している。
野田氏は1993年に34歳で八女市長に初当選。当時全国最年少だった。現在4期目で、来年1月に改選を迎える野田氏にとっては、5期目に挑戦するかどうかの判断が迫られてはいたようだ。また行財政改革に早くから着手し、一定の成果を挙げ、長い懸案であった八女市・八女郡の合併が再来年に実現する道筋が見えたことも、出馬を決断した背景にある。
野田氏は古賀誠氏の元秘書。しかも共に日大出身である。市長選で古賀氏の支援する候補と野田氏が戦ったことから政敵になったものの、お互いを知り尽くしている間柄であり、年頭のあいさつにも訪れているという。野田氏の側近は「お互いの手の内を知っていると言っても、こちらには何も探られるようなことはない」とクリーンさを強調。昔の「師弟」が「政敵」に変化したのは、古賀氏と野田氏の政治姿勢の違いである。
「16年間で政治のスタンスが違ってしまった」。野田氏にごく近い方が語ってくれたが、このスタンスの違いが「オープン・フェア・クリーン」を標榜する野田氏の決断につながったのだろう。
「政権交代」を悲願とする民主党。帰趨を、福岡7区が握っている。
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