29日、福岡県選管で公開された07年の政治資金収支報告から、市長選挙時に吉田福岡市長が賃借し、民主党福岡県総支部連合会が使用した市内中央区にあったビルの暴力団関連物件に関し、市長側や民主県連の説明と、収支報告の内容が合致しないことが明らかとなった。(29日一部既報)
問題の物件については、05年11月の福岡市長選挙期間中、吉田市長の選挙事務所隣にあったビルの1階部分を吉田市長の名義で賃借し、民主党県連が、電話作戦や会議などで使用、「県連の(市長選)選対として使った」とされる。家賃は1ヶ月分として40万円、敷金・保証金がそれぞれ1か月分で合計120万円が支払われたとしていた。
その後、物件の実質的使用者である民主県連は、翌年1月、吉田市長側に対し保証金分と家賃の合計80万円分を支払ったという。県連幹部も「江藤博美幹事長代理(福岡市議)が、1月になってきちんと80万円支払ったと言っている。問題ない。」としていた。
民主県連側が支払ったとする相手が、吉田市長側の政治団体であるなら、該当するのは「吉田ひろし後援会」と「ふくおかFUNクラブ」の2団体である。07年の収支報告書によると「吉田ひろし後援会」の年間収入は2,974,511円、内訳は吉田市長本人が貸し付けた800,000円と個人からの寄付が3人分計2,000,000円、残りは吉田市長の自宅を事務所にしたことによる無償提供分120,000円(実際の現金の移動はなし)とその他の寄付として54,511円が計上されている。民主党県連からの寄附等は1円もない。
「ふくおかFUNクラブ」の収入は3,010,000円、内訳は「吉田ひろし後援会」からの2,000,000円の寄附と、吉田市長夫人からの1,000,000円の借入金、10,000円の個人からの寄附となっている。ここにも民主県連からの寄附等の入金は記載がない。
民主党福岡県連が吉田市長の関連政治団体に対し、支出を行なっていなかったことは同県連の収支報告書からも確認できる。とすれば、問題のビルの賃料等は、1次的には吉田市長が個人で支払い、県連から市長個人に寄附がなされたということになる。しかし、県連側の報告書には吉田宏氏個人への寄附等の記録はない。民主党県連関係者や吉田市長の選対関係者が主張してきた、「契約者は吉田市長」「翌年1月に県連として吉田市長の政治団体との間で精算」という話は間違い、あるいは虚偽だったことになる。
昨日公開された県選管届出分の収支報告
県連が使用したにもかかわらず、吉田市長個人が契約当事者となったことについて、関係者は「物件のオーナー(所有企業)が、民主党県連を嫌っていたため、吉田市長名義で借りることになった」と話す。
しかし、市長選挙期間中、吉田市長を推薦はしたものの、確認団体となっていなかった民主党は、公選法上、福岡市内での政治活動に制限があり、市長選用の事務所を借り、政治活動をすることは禁止されていた。民主党の広報カーが市長選期間中、市内を走行できなかったのもこの規定による。
つづく
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