見えない融資の方向性
2008年3月期の佐賀銀行の貸付残高は1兆2,010億円、うち中小企業向けが75.0%の9,012億円、残り25%の2,998億円の貸付先は住宅ローンなどの個人向けや地方公共団体への貸付となっている。
貸付先を業種別に見た場合、各種サービス業への融資残高が1,935億円と一番多く、次に卸・小売業者に対しての1,663億円となっている。注目されるところの建設業や不動産業者向けでは、不景気とされる建設業向けが05年3月期には824億円あったものが、08年3月には717億円まで落ち、3年間で107億円減少させている。
不動産業者向けは、実質佐賀銀行の管理下にあった(株)東峰住宅やアーサーホーム(株)を整理し、会社売却をはからせたが、業界向けは05年期1,255億円の残高が08年期には1,119億円と136億円減少している。
05年期と08年期の期間で、減少額の大きいのが、各種サービス業向けで△293億円減少、2番目が不動産業向けの△136億円、3番目が△106億円減少の建設業向けとなっている。
一方、100億円以上増加している業種は1つしかなく、173億円増加した地方公共団体向けは1,089億円の融資残高となっている。
地方公共団体向けは、地方銀行の殆どの銀行が同期間で融資を拡大させており、同行も企業向け融資を拡大させたいものの、貸付先が限られ安全パイの地方公共団体向けを拡大させているのである。
過去、国主導による企業育成などについて各銀行は、取り組みレポートまで提出させられていたが、景気後退の中で佐賀銀行は06年3月期をピークに企業向け融資を減少させてきていたのである。
地方銀行は金融庁の指示もあり、不動産業や建設業者向けは特に貸し渋り状態が続いているが、景気を良くするためには資金の動きを活発化させる必要があり、特に佐賀の場合、競合金融機関も殆どなく、地元経済の浮揚は、佐賀銀行が鍵を握っていると言える。