健全経営を何故指導せぬ銀行
田舎者に金を持たせたらすぐバブルになる。新興デベも同じで、分譲マンションが好調に売れているときには利益も出、身の丈は差し置いて矢継ぎ早に開発し始める。当初真剣であった開発予定物件のマーケティング調査も、ブローカーが持ちこむ不動産取得が先とばかりに反故にする。また、銀行も貸出競争をする。
銀行が少しでも融資を絞ると、ファンドやノンバンクまでが登場。SPC事業として取り組むまでに至る。しかし、今日、完成在庫の山は高くなかなか減らない。破綻が続く。しかもSPC事業の案件は、開発業者が破綻しても表に出ないことから、当該ノンバンク等が窮地に追い込まれることになる。そうなるとノンバンクもSPC事業に旨味がなくなり、いよいよ新興デベへの資金供給元がなくなる。
取引銀行は、「晴れているとき傘を貸し、雨が降っても傘を貸さない」とよく言われるが、長年の不良債権処理を終え、デフレ不況の中、銀行の貸出競争の矛先は不動産業界であった。「バブルと言われるまで出しっ放し、頂点と見ると剥がしっ放し」である。バブルの時と全く同じである。地場に根付いた地方銀行もこれであるから、対応のしようがない。
綺麗事ではなく、経営診断力だけではなくマーケティング力にも精通している銀行が、融資先の経営や営業のアドバイザーにならなければ、同じことを繰り返すだけである。金融システムもより複雑になっているからこそ、銀行は融資先をより健全なところに誘導すべきではないだろうか。
開発案件の資金元
第一段階 第2段階
銀 行 ⇒ ノンバンク・SPC
先般、破綻した丸美は、金融スポンサーの動きと建設業者の動きの両面を持っていた。
※資金を持っている会社が、資金を持たないデベと共同企画案件として開発。資金を持っている会社が、土地・建物代金を受け持ち、元請の建設業者として建設利益も取り(下請けに丸投げ)、共同企画案件として販売利益も取る。ところがデベが販売するが売れず、完成在庫が山となり、破綻したのが丸美である。
※丸美の場合、持っている資金の出所がリゾート会員権70億円であり、決算に掲載もされていなかった社債46億円(08/3期決算計上額は4億円)であった。当該債権者数3,300名。
不動産や不動産業界に対する信用収縮は大きく、関連する建設会社の信用収縮も起きている。資産家が所有土地に賃貸マンションを建てようとしても、今の銀行は貸さない。不動産に対する融資を強く抑制している。
ここまで、ミニバブルを演じさせた銀行の責任は、バブル崩壊の反省もなく、貸しと剥がしを使い分けるだけとなっている。