続いて、発表にたった韓国ホタル研究会副会長の鄭秉峻(ジョン ビョンジュン)氏は、首都ソウルのベッドタウンとして宅地開発の進む城南市におけるホタル保護活動を紹介した。
ヘイケボタルの棲息地を復元するため、城南市の孟山(メンサン)地域に湿地や棚田を復元し、野生花団地を造成するなど、6年がかりで緑地再生運動を進め、一度に百数匹のホタルが確認できるまでに回復したとのことだ。復元した生態環境や緑地保全の重要性を市民に広く知らせるため、「孟山ホタル自然学校」を開校し、97年から始まったホタル祭りも、今では城南市を代表するイベントに発展。「韓日青少年交流を通じて、両国の環境教育をもっと盛んにしたい」と抱負を語った。
ホタル棲息地の復元運動について報告する鄭秉峻氏
また、韓国の自然河川生態系の調査・研究活動を行っている韓国河川研究会会長の李学暎(イ ハギョン)氏は、地質学的、生物学的、生態学的な側面から韓国の河川を分析。韓国の都市河川のなかで生態環境を回復した事例として、昌原川や咸平川、南大川など地方都市河川の復元プロジェクトを紹介した。
今回、初めて参加した中国科学院昆明動物研究所の梁醒財教授は、中国におけるホタル保護に関する報告を行った。急激な工業化・都市化によってホタル棲息地が激減している中国にあって、ホタル研究を続ける梁教授によれば、中国内の数十箇所で実地調査を行った結果、雲南省の西双版納(シーサンバンナ)と安徽省寧国郡で、ホタルの棲息が確認されたとのことだ。
両地域は緑に覆われた地域であるが、竹林が8割を占める安徽省寧国郡に比べ、植物分布が多様な西双版納の方がホタルの種も多様性を保っているとの調査結果であった。梁教授は、中国ホタル研究会の発足やホタル保護意識を高めるプロジェクトの実施など、今後の計画についても語った。
北九州市の事例としては、鞘ヶ谷小学校ホタル委員会の取り組みが紹介された。同校ではホタルを呼びもどす活動が26年前から続けられている。地元に住む関戸英毅さんの指導で、4年生からホタルについて学び、5・6年生になるとホタル委員会に入った子供たちが中心になってホタルの幼虫の世話をする。ホタルの幼虫の放流やホタルの餌となるカワニナの飼育など、鞘ヶ谷小の取り組みはローカルTVのニュースでも何度か紹介された。
活動報告をする鞘ヶ谷小学校ホタル委員会の児童たち
また、パネルディスカッションでは、「人の手で復元した自然よりも、蛇行する流れがそのまま放置された河川の方が水生昆虫の棲息に適している」など、ホタルに魅せられた専門家たちの興味深い意見交換がなされた。
(取材:森脇喜一)
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