福岡市東区の人工島にある「アイランドシティ中央公園」でも見つかった特定外来生物の毒グモ「セアカゴケグモ」について、市は16日に18匹を駆除したと発表した。この件で市は、マスコミの通報があるまで同公園の調査を行なわず、管理会社に「目視」させるだけで済ませていたことが分かった。「人工島の公園で毒グモが見つかることを恐れ、隠蔽しようとしたのではないか」といった疑惑が浮上している。もちろんこども病院人工島移転の市議会審議への悪影響を恐れてであろう。
市は12日までに毒グモの大量発生を確認し、「みなと100年公園」や「香椎浜公園」、「城浜公園」、「人工島コンテナターミナル」といった場所を市職員などで調査、700匹以上を駆除した。しかし、人工島の中央公園に関しては、指定管理者の民間造園業者に「目視を指示した」(市公園管理課)だけで、市で確認調査をしていなかった。意図的な怠慢である。
人工島のコンテナターミナルでも毒グモが発見されているのに、なぜ市は公園の調査をやろうとしなかったのか。
「人工島の公園にいると思わなかった」 ?
市公園管理課は「100年公園に隣接している地域に毒グモがいる可能性が高いと思った。まさかアイランドシティの公園にいるとは思っていなかった」と話す。毒グモが人工島のコンテナターミナルでも発見されているのに、あまりにも緊張感のない対応だ。
また、毒グモを発見したのは一般の大学院生だったという。発見したのは15日午後。16日午前、市に善意で連絡したが、「担当はここではない…」などと区役所とのやり取りで「たらいまわし」にされている。最終的に、テレビ局や新聞社が市に通報し、市はようやく重い腰をあげた。18匹を発見、駆除したのだが、調査を始めたのはその日の午後で、「市の対応が遅い」と関係者は苛立ちを隠さない。
場所によって対応にばらつき
また、市の対応には場所によってばらつきがある。100年公園は毒グモが出たため閉鎖し、城浜公園や香椎浜公園は一時閉鎖したが、人工島の公園は閉鎖していない。「数が少なく、側溝など子どもの手が届くような場所ではない。そう不安がるようなしろものではない」と市公園管理課は楽観視する。無責任としか言いようがない。閉鎖して騒ぎが大きくなればこども病院の審議に影響するというのが本音だろう。
市議会では、アイランドシティ中央公園が隣接する場所に、こども病院を移転するための関連議案が審議されている真っ只中。市は病院の移転先を決めた理由の1つを「公園が近く患者の療養環境として優れている」としている。市民の市への不信感や疑念は、蜘蛛の子を散らすようには拭い去れない。