保健福祉局理事 毒グモ問題で広報の不手際認める!守るのは「人工島」だけ?
福岡市のホームページでは、新着情報として様々な発表をおこなっている。市にとって都合の良いものや、屁理屈だらけのものが目立つのは当然だが、先日発見され「セアカゴケグモ」についての公表内容は、市民の安全を脅かす極めて悪質なものだと断じておきたい。
市のホームページ上では24日午前現在「セアカゴケグモにご注意ください!」として新着情報をアップしているのだが、冒頭から「隠蔽体質」丸出しである。
「平成20年9月10日~12日、香椎ポートパーク内の『みなと100年公園』や『香椎浜公園』などでセアカゴケグモの生息が確認されました。」とある。なぜ16日に人工島の「アイランドシティ中央公園」で大量のセアカゴケグモが見つかったことを記していないのだろう。もちろん、「12日にアップした時は人工島内では見つかっていなかったから」などという言い訳は通用しない。16日時点で書き加えるべき重要な情報であろう。
さらに市は、1 特長、2 生息しやすい場所、3 セアカゴケグモの習性、4 防除方法、5 セアカゴケグモにかまれたときの処置、6 問い合わせ先、といって情報を記すが、その毒性については全く触れていない。これは重大な不作為であると申し上げておきたい。
平成18年に大阪府と府立公衆衛生研究所がおこなったセアカゴケグモの毒性試験報告書が存在する。マウスを使った毒性試験なのだが、報告書の結論ともいえる「まとめ」には「免疫力が弱い幼児や老齢者あるいは成人でも体力の落ちた物が被害にあった場合には、健康な成人と比較して重症となる事が示唆された。これらの年齢の人たちへの注意喚起が改めて必要であると考えられる。」としている。幼齢マウスや高齢のマウスはセアカゴケグモの「α-ラトロトキシン」と呼ばれる神経毒によって高い死亡率を示したのである。
また、セアカゴケグセモが発見された他の自治体では、その毒性から引き起こされる症状や、海外での「死亡事例」まで詳細に公表している。ある自治体が公表した症例について記せば「強い痛みは顔、首、胸部に生じ、・・(略)・・。」などという記述に始まり嘔吐、発熱、めまい、下痢、喀血、精神異常、全身の関節痛など、ありとあらゆる症状が列記されている。「乳幼児が咬まれると痛みのため泣き叫び、間欠的にけいれんし、症状の進行は早く、重症になりやすい」
なぜ福岡市はこうした毒性についてきちんと公表し、市民に注意喚起を促さないのか。疑問に思い、市保健福祉局の恒吉理事に話を聞いた。恒吉理事は、24日現在、セアカゴケグモが人工島で発見されていたことを市のホームページ上で公表していないことについて(香椎地区の発見事例だけを公表)「出さないのはおかしいと思います」と市側の非を認め関係部署に指示を出すとした。しかし、このあとの議論はかみ合わなかった。「毒性」についての問題である。
つづく