《情報公開請求に対しては、自信を持って公開すればいい》

　一枝保育所の移転反対運動を続けている保護者・住民たちは、市と福祉事業団が移転場所検討にあたって「最初から仙水町の市有地ありき」ではなかったのかと疑っており、本当にいくつかの候補地を検討したのか、市に対て情報公開請求を行なっていた。
ようやく市からこの情報公開請求に対して回答があったが、その内容はあきれるものであった。

開示請求内容１
　一枝保育所移転に関し保育課は一枝校区内で土地を探したが無かったといっています。その証明が明らかになる文書を提出してください
（さがした事実がわかる文書）

北九州市文書課の９月19日付け回答
　北九州市情報公開条例第12条第１項での公開期日は９月22日までとなっていたが、下記理由により、10月７日まで公開の期日を延期する。
延長の理由：当該文書には第三者である民間社会福祉法人の事業に係る情報が含まれており、当該法人の権利、利益を害するおそれがあるかどうかを当該法人と協議し確認する必要があるため。また公立保育所の民営化に係る事務処理が繁忙であり期間内の処理が困難であるため。
所管課：子ども家庭局　子ども家庭部　保育課

開示請求内容２
　一枝保育所の移転先がいつ頃から仙水町の土地が候補地として議論されだしたのか、又、子育てに住民や保護者が困窮するのが理解できたはずなのに、あえて仙水町にこだわる議論過程の書類全てと、一枝保育所の跡地の利用計画書、更に移転先の仙水町と一枝保育所の土地の評価額、売却するとなれば推定される売却額

北九州市文書課の９月19日付け回答
　北九州市情報公開条例第１２条第１項での公開期日は９月24日までとなっていたが、下記理由により、10月７日まで公開の期日を延期する。
延長の理由：上記理由と同じ

　いずれの情報公開請求に対しても、北橋市長名で「行政文書開示決定等期間延長通知書」が保護者・住民側に届けられた。

　住民が知る権利を持つ行政情報の開示よりも、「民間である」福祉事業団の権利の方が大事だと延長理由を正々堂々と説明する意識がまず信じられない。

　この説明では、福祉事業団が「利益が害される」と判断すれば、情報公開はしなくていいということになる。

　また一番の利害関係者である保護者・住民から出されている疑問、「本当に他の候補地も検討したのかどうか」という点について、事実として保育課と事業団が他の候補地も捜したのであれば、自信を持って公開すればいいのではないだろうか。

　その事実を公開することで、事業団の利益が損なわれることは全くないはずだし、住民・保護者への具体的説得材料となるはずだ。

　また、土地の評価額、売却推定額は２箇所とも市の土地であり、事業団と相談する必要は無い。明らかに時間稼ぎの為の延長としか思えない「市民に閉ざされた情報公開制度」である。それにしても「一民間団体」のはずなのに、土地の斡旋から建設資金補助の面倒を見た上、更に事業団が利用者に自ら行うべき説明責任をフォローするなど、どうしてここまで市は福祉事業団に力を入れるのだろうか。　　

　市が福祉事業団を公的な存在として理由付けするのであれば、市と同じく事業団も、市民に情報公開の義務を負うはずである。