9月議会で市が提出した議案では、こども病院の移転にともなう人工島の土地取得単価が、1m2当たり13万5,000円となっていた。1m2当たり1,100円も水増しされているのだ。敷地面積もいつのまにか35,000m2に拡大されており、水増し分だけで3,850万円もの税金がむだになる。ところが昨日報じたように博多港開発(株)と銀行団との契約書に基づき、1m2あたりの基準価格13万3,900円を8掛けで計算すると10万7,120円となる。1m2当たりの差額は何と2万7,880円、総額で9億7,580万円の税金が余分に支払われることになるのだ。
福岡市は、なぜ博多港開発の事業計画で定めた「基準価格」に従った予算組みをしなかったのか。考えられるのは当初の購入予定面積5万m2と購入金額にこだわらざるを得なかったということだ。
もともと市民病院、こども病院・感染症センターのふたつの市立病院を統合して人工島に移転させることが決定していたため、取得用地は5万m2となっていた。事業計画では07年度にその5万m2を売却することになっていたのである。
博多港開発は事業計画通りに土地売却を進めなければ、銀行融資を打ち切られることになるのだが、人工島事業見直しやこども病院移転の白紙・見直しを掲げた吉田宏市長の誕生で計画が頓挫する。吉田市長側のパーティ券を購入するなどして応援した福岡銀行としては、市長交代とともに新たな融資枠組みの構築に乗り出した。今春、既存融資分と、新規融資40億円分、ふたつの契約を結んでいる。契約期限は来年6月とされ、こども病院人工島移転の可否がこの契約に重大な影響を与えるものであったことは想像に難くない。9月議会でこども病院の人工島移転が否決されていれば、大変なことになっていただろう。
用地面積が1万8,000~30,000m2 → 35,000m2と変遷したのは、当初予定の50,000m2に近づけるためとしか思えない。もちろん取得単価が1m2あたり1万3,900円から1万5,000円に水増しされたのも、銀行への返済金額をできる限り当初計画に近づけるためであろう。しかし、それでは言われるように「博多港開発の尻拭い」のため、こどもの命を無視し、市民の税金を投入して巨大公共事業を創出したに過ぎない。それでは、どうして1m2当たり13万5,000円に設定したのか、改めて、福岡市が土地取得単価を決めた根拠となる文書を入手した。
つづく