不動産業界をこれまでリードしてきたファンド・リート・マンションデベロッパーの3者であるが、それぞれ内容が大きく異なる。
私募ファンドは、投資家から資金を募り、その資金で不動産を購入しては転売して売却益を得る土地転がしである。これを繰り返せば不動産価格は値上がる一方であり、バブル期と同じ現象に辿り着く。今回の不動産ミニバブルではバブル期にはなかった不動産証券化により不動産を流動化させた。その資金を不動産へ再投資するという手法により、国が認めた不動産インフレを起こさせたのである。しかし、過熱化したことにより、購入資金の手当て先であった金融機関が危険を察知して一斉に撤退、不動産を購入できない状態となった。
リートは新しい市場であるが、不動産の長期保有型であり、原則収益還元方式による不動産取得である。取得に要する資金は金融機関とタイアップすることが必至。取得した不動産から収益を還元することで(リート市場で)物件の再資金化もはかっている。不動産価格の下落では利回りが良くなることから、リート会社は物件を購入、値下がりに歯止めを掛ける作用もある。
リートのニューシティレジデンスの破綻は、投資用に購入する物件の購入費をこれまでどおり金融機関が融資してくれるものと勘違いしたためである。投資物件は通常、金融機関からの借入によって取得、当該物件を証券化して販売した代金で金融機関に返済することになるが、市場の悪化でリファイナンスが効かず、返済資金に困り、所有物件を売却して返済資金を捻出していた。
最後のとどめとなったのは池袋プレシャスタワーである。277億円で購入契約をしたものの借入先がなく、このままだと約50億円の違約金の支払義務が生ずることから、民事再生申請となったものである。どんな業態でも身の丈はある。
マンションデベは不動産開発業者であるが、需給バランスで常に調整される。
一時的な過剰在庫があっても市場によって調整される。ところが、業界はファンド資金までSPCを組んで導入したことから、需給バランスをはるかに超えた供給がなされ、当然需要によって冷やされる結果となった。それでも適正規模で販売しているデベは、常に自社の適正在庫以下しか持たず、開発もその指数によって調整している。一部の「開発ありき」のデベが、自社の経営基盤も省みず、市場原理を無視して開発を続けた。結果完成在庫の山となり、そうしたデベが行き詰まり、破綻が今日でも続いている。
不動産業界にあっても、こうした異なる業態である。金融機関はいずれも同じ不動産業として判断、ゼネコンも含め、貸し渋りが顕著となっている。バブル崩壊時の不良資産問題を回避するためであろうが・・・・。
金融機関は不動産業界に対して一律的に融資をストップさせている。特にデベは融資が絞られたら開発どころではなくなる。需要があっても供給できなければ商売にならない。業績が健全なデベまで、銀行が貸し渋りの対象としていることが問題である。このようなことを続けていては金融機関自らの経営をも萎縮し、ゼネコン含め関係業者も不良債権を多発させることになろう。経済の発展にも逆行するものである。