弊誌IB8月7日号「モルグ」にて既報の多田建設(株)。7月末の支払いが困難となり、会社更生法の適用を申請、9月22日に東京地裁より更生手続の開始決定を受けた。同社が会社更生法の適用を申請したのは今回で3度目。果たして、3度も会社更生法を申請する企業が、資本主義社会のなかで生きていくことを許しても良いのだろうか。
COMPANY INFORMATION
管財人:清水 直
所在地:東京都江東区大島2-8-6
設 立:1947年6月
資本金:10億円
年 商:(07/6)457億3,016万円
3度の会社更生法の経緯
多田建設(株)は1947年設立の民間主体のゼネコンである。バブル期に一気に業績を拡大し、東証1部に上場。ピークとなる92年3月期には1,301億6,500万円の売上高を計上していた。しかし、バブル崩壊の影響で多額の保証債務を抱えたうえ、ドイツマルク建ワラント債(ドイツ市場での発行の新株予約権付社債)を自己資金により償還。資金繰りが一気に悪化し、不動産の売却やリストラなどにより財務内容の改善を図っていた。97年7月30日、同月末の手形決済金の調達のメドが立たず、会社更生法の適用を申請。当時の負債総額は1,714億円で、九州地区にも大きな影響を及ぼした。
その後、同社のスポンサーに大旺建設(株)が就任。以後は順調に債務を弁済し、05年3月31日に前倒しで更生手続終了の決定を受けた。ところが、支援しているはずの大旺建設が、同社に対して銀行借入のための債務保証を負わせたり、同社から多額の資金を引き出したりと、財務内容を急激に悪化させたうえ同社を合併して取り込むことを計画していた。これに反発するかたちで、05年7月11日、多田建設の社員が退職金債権者の立場から会社更生法の適用を申請。負債総額は約181億円だったが、手続終了からわずか3カ月の2度目の申請に関係者は耳を疑い、「会社は誰のものなのか」という議論を生んだ。
つづく