市議会保健病院委員会は移転を容認。送迎困難の現地調査は実施へ
11月12日に市議会保健病院委員会が開催され、一枝保育所保護者・地域住民から提出された第3回陳情の審議が行なわれた。今回提出された陳情案の3項目をまず紹介する。
1、移転による子供の送迎が困難になることや保育環境が後退することに対して、市議会として現地調査を実施すること。
2、福祉事業団が「一枝保育所保護者に園内での移転問題について意見を述べたり活動することに制約を加えていること」について市議会として指導勧告を行うこと。
3、一枝保育所園舎改築について保育課指導のもと福祉事業団、保護者会、一枝住民の協議の場を設けること。
また審議の冒頭、一枝保育所保護者・住民から口頭陳述があった。保護者らは、この保健病院委員会が開催され、陳情案の審議が行われる前から建設が始まり、移転を強行している保育課と事業団の不誠意が指摘された。
さらに保護者側は、移転先は九州工業大学が使用してきた場所であるので、実験廃液などで土壌汚染の可能性もあり、土壌検査を実施するよう求めた。
いよいよ審議が始まり、移転に疑問を持つ共産党議員から保育課に対して、移転の必要性や福祉事業団の保護者会活動に対する制限について質問が行なわれた。
しかし保育課はこれまでどおり、「老朽化した建物を新しくしてやるのだから移転には問題ない」と繰り返すばかりで、保護者や一枝住民には理解できない答弁であった。
残念ながら一般市民には理解できない論理でも、役人と議員には通じるのだろうか、「既に仙水町で建設も始まっているのだから、とやかく言うな」とばかりの審議で、陳情案の2と3は不採択となった。
市議会にも唯一良心が残っていたのか、高齢者の送迎や障害者の通園について議会として現地調査を行なうことになった。
最善の調査、まともなマーケティングを
記者から見ると、第1回陳情の際に委員会として現地に赴き、利用者の調査をきちんと行なうべきところを、遅きに失していると思うが、せめて移転後に通園に困る家庭がでてこないよう、最善の調査を実施して欲しいと願うばかりである。
委員会の質疑の中で、保育課は現一枝保育所の土地が売却される可能性が高いことを認めている。
市有地の売却でいくばくかの資金が市に入ってくるのだろうが、それと引き換えに、これまで永年一枝保育所を通じて培ってきた地元住民との信頼関係を失った代償はあまりにも大きいのではないだろうか。
利用者や地元住民の声を聞いてから政策を決めていく。それが行政のまともなマーケティング手法であるべきだ。これを教訓にこれからの保育行政では繰り返さないでもらいたい。
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