高々とそびえ立つ建築中マンションのクレーンは止まったまま。ディックスクロキが不動産証券化スキーム(合同会社ポート・フォワード、ノンリコースローンレンダー:西日本シティ銀行ほか)を使って企画した、福岡市中央区港1丁目のタワー型賃貸マンションだ。
ここは、一般債権者の中で約24億円と最も額が大きかったピーエス三菱九州支店などがJVで建築していた。「このまま建築するのか、途中で止めたままにするのか」、気になっている人も多いはず。
ピーエス三菱の発表によれば、この物件に関する工事代金約18億円に関しては保全措置をしており影響はないとのこと。となれば、もし完成させるとすれば、債権額との差額6億円(竣工時にもらえる代金と見られる)の行方が気になる。
ただ、あるゼネコン関係者によれば、ピーエス三菱にとっては物件が未完成で「留置権を主張できる」からこそ都合がよいのだという。「留置権」を行使すれば(契約上は竣工時に同権利を放棄)、少なくとも建物は事実上ピーエス三菱のものとなるだろう。となれば当然、そこの土地も抑えることと同義。
元来、竣工時にはAIGグループが運用するファンドに約53億円で売却するとされていた。土地の信託受託者は中央三井信託銀行。完成させて売却までもっていくのか、もしくは解約違約金の発生を待つのか、そもそも未完成のまま放置するのか、別の買い手が現れるのか、興味は尽きない。