積水ハウス、大和ハウス工業による、上野公成元官房副長官側への1億5千万円を超える政治資金提供。その大半が政治資金パーティに対する支出として処理されていた。政治資金規正法上の問題が指摘されるのは、同じ日、同じホテルで2回のパーティを開いたとされるものである。
06年11月21日、赤坂プリンスホテルにおいて2つのパーティ「上野公成セミナー」が開催された。まず「上野公成後援会」主催によるパーティで収入総額は1,706万円。次いで「環境問題研究会」主催で収入総額210万円となっている。前者については積水ハウス・大和ハウスそれぞれが150万円ずつ、後者には積水ハウスが150万円支出している。積水ハウスは1日に300万円を支払った形になる。
政治資金規正法は、その第22条で「一の政治資金パーティにつき、同一の者から、150万円を超えて、当該政治資金パーティの対価の支払を受けてはならない」と規定している。実はこの日、本当に「2つのパーティが開催されたのか?」という大きな疑問がある。2つのパーティが開かれたのは赤坂プリンスホテルなのだが、両団体の政治資金収支報告書によれば、当然発生すべきパーティの「会場費」について、「上野公成後援会」主催のパーティ分の記載しかないのである。これは赤坂プリンスホテル発行の領収書でも確認できている。つまり、「環境問題研究会」主催のパーティの会場費については、領収書も無ければ記載もないということだ。
さらに同年12月19日には、上野元副長官の資金管理団体「上成会」と「高齢社会研究会」が「上野公成セミナー」を開催したことになっており、積水ハウスがそれぞれのパーティに150万円の計300万円、大和ハウスが「上成会」に150万円を支出している。収入総額は「上成会」が1,664万円、「高齢社会研究会」が230万円であるが、この日も会場は赤坂プリンスホテル、しかも「高齢社会研究会」の会場費は記載なしである。
翌07年も1月25日(「上成会」収入額1,560万円・「高齢社会研究会」収入額380万円)、2月22日(「上成会」同1,568万円・「高齢社会研究会」同340万円)、3月22日(「上成会」同1,410万円・「高齢社会研究会」同220万円)、4月26日(「上成会」1,326万円・「上野公成後援会」340万円)、5月24日(「上成会」同916万円・「上野公成後援会」386万円)と、1日に2回の「上野公成セミナー」を開催している。会場はすべて赤坂プリンスで、収入額が少ないほうのパーティには会場費が発生していない。会場費が発生しているのは、資金管理団体「上成会」による収入が1,000万円以上かそれに近いもののみで、収入額の大半を積水ハウス、大和ハウス分で占めるパーティは、全て会場費の記載がないのである。
150万円という政治資金規正法の限度額をオーバーしないように、「2回」のパーティを偽装したのではないか―、そうした疑念を持たざるを得ない。
この点について、上野公成氏の元政策秘書で、関連政治団体の代表・会計責任者を兼任し、全ての政治団体の事務担当者として記載されているT氏から話を聞いた(T氏とのやり取りの全容は別項にて紹介)。
T氏に1日2回のパーティに対する疑問点をぶつけてみたところ、当初「朝食会と昼食会の2回。別のテーマでやった」としていた。しかし、昼食会というのなら食事が出ているはずだし、会場費がないのはおかしい、と問いただすと「実は、会場費はかかっていない」。さらに追求したところ「朝食会会場の『控え室』で(パーティを)やった」と言い出してしまった。大きなパーティを開催し、その会場の控え室で小規模なパーティを開催したというのである。仰天の手口としか言いようがない。果たしてこの逃げ道が通用するのだろうか。【特別取材班】
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