06年4月から07年6月の1年3ヶ月で、上野公成元官房副長官側の政治団体に対し、大手住宅メーカー2社から1億5千万円を超える政治資金提供がなされていたことが、データマックス取材班の調べで明らかとなった。巨額の政治資金提供をしていたのは、住宅建設販売のトップメーカー「積水ハウス株式会社(本社・大阪)」と「大和ハウス工業株式会社(本社・大阪)」の2社。積水、大和ともに単体の売上高で1兆9千億円前後を誇る。両社のテレビコマーシャルを見ない日はないほどのビックネームである。わずか1年3ヶ月の間に、この2社が関った政治資金パーティは53回(全てのパーティ開催は55回)。5日おきや3日おき、2日連続で開催された例もあった。ケタ外れの資金提供額に驚きの声が上がっている。
上野元官房副長官は旧建設省官僚時代、両社の事業を所管する住宅関連の課長などを歴任していた。総選挙を前に再び浮上した政・官・業の闇。政治資金規正法の抜け穴が世間に通じるか、永田町の論理が問われようとしている。同時に、違法性も含めて、日本を代表する住宅メーカー2社の企業倫理が厳しく問われることになる。
上野公成氏は東大卒業後、旧建設省に入省。住宅局住環境整備室長、住宅生産課長、住宅建設課長を歴任した住宅問題のエキスパートである。92年、参院群馬選挙区から参院議員に初当選。2期目の2000年(第2次森内閣)から、小泉内閣までの通算3年3ヶ月の間、官房副長官をつとめ、同職の在任期間歴代1位の記録を持つ。04年の参院選で落選、07年の参院選で比例区に転じたが、再び落選していた。
上野氏側の関連政治団体は資金管理団体「上成会」をはじめ「上野公成後援会」「上野公成を励ます会」「環境問題研究会」「高齢社会研究会」「住宅政策研究会」、の6団体。いずれも上野氏本人が代表を務めるか、もしくは上野氏の元公設秘書らが代表や会計責任者を兼任していた。このほか、上野氏が支部長だった「自由民主党群馬県参議院比例区第十三支部」(07年12月31日解散)も存在していた。
2社で1億5千万円を超える政治資金は、その大半が「セミナー」と称する政治資金パーティ開催にかかる支出。多数の政治団体を使い分け、政治資金規正法の抜け道を利用したと思われる手口も判明している。業界を所管する官僚から政治家に登りつめた上野氏と、業界トップを争う2社による巨額の政治資金提供の裏に何があるのか。明日から長期連載で詳細を伝えていく。
【中願寺純隆と特別取材班(佐嘉一郎、藤井信、青木義彦)】
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