定額給付金を含む08年度第2次補正予算の関連法案成立(再議決)のために、衆院の3分の2規定を使うなら採決を行なう本会議を欠席する、などとして麻生政権への批判を強めている小泉元首相。麻生政権が末期であることは確実なのだが、しかし、かつての人気者に対する賛同の声は聞こえてこない。20日、訪問先のロシアから帰国する小泉元首相の次の発言に注目が集まるものの、「造反小泉」に追随しそうな自民党議員の輪は広がっていない。もちろん、国民の共感も得られていない。
2次補正そのものに賛成しておきながら、関連法案に反対という政治姿勢に整合性がないこともその一因だが、背景に小泉改革への反省があることも事実。もちろん自民党議員には、定額給付金を後押ししてきた公明党・創価学会への配慮も働いているとみられる。
かつては小泉劇場に酔いしれた国民も、小泉構造改革の痛みが広がり「格差」を実感するようになった現在、元首相の発言を冷静に受け止めるようになったということだろう。
さらに政権批判の発端が「郵政」であることに、ある意味での胡散臭さを感じ取っていることも忘れてはなるまい。「郵政民営化は改革の本丸」であるとして、あたかも民営化後には日本が良くなるかのように思わせ、郵政選挙で国民を扇動した小泉元首相。しかし、郵政民営化は国民が生活を営む上でなんのプラスにもなっていないのが現実だし、日本の政治や経済は混迷の度を増すばかり・・・。生活が大変、老後が大変という時になにが「郵政」だ、というのが本音。小泉さんいい加減にして下さいと言いたいところだ。
一方、小泉元首相のあとを継いだ安部・福田の両元首相は、なす術もなく退場を余儀なくされ、今また麻生太郎首相が落日を迎えている。小泉改革の総括を避け、政権延命だけに汲々としてきた結果でもある。お友達である中川昭一氏の酩酊、大臣辞任で土壇場に追い込まれた麻生首相に挽回の秘策はあるまい。しかし、郵政がらみの政権批判では小泉元首相にも支持は集まらない。これまでの自民党の方針からすれば「造反」として片付けるのが筋だろう。
造反小泉にも落日麻生にも永田町は冷淡になっている。もちろん国民は永田町以上におふたりへの厳しい視線を投げかけている。