麻生渡福岡県知事は20日、県議会の空港対策調査特別委員会に出席し、「現空港の滑走路増設」と「海上新空港建設」両案のうち、どちらを支持するかの判断を3月末までに行なうとした。表明の時期や場所については明言を避けた。
麻生知事は、空港問題に対する基本的な認識、PI活動や国会議員らとの協議の内容、需要予測、北九州空港との連携などについて特別委員会委員長の質問に答える形で自らの考えを述べた。
「滑走路増設案は暫定案である」との知事の発言の真意について、麻生知事は「増設による能力アップより、将来の需要の伸びが大きく、2032年ごろには、容量限界が到来し問題解決ならない」ということだと説明。北九州空港との連携については、「北部九州の市民は大いに利用してもらいたい。24時間という利点を活かして貨物の発展を図りたい」とした。また急激な景気の落ち込みの中で、需要予測の信頼性に疑問があることについては「短期的な景気の見方ではなく、中長期的な立場で考えていく必要がある」。
さらに両案のどちらを選択するかについては「両案ともメリット、デメリットがあり判断が非常に難しい」と苦渋の色をにじませた。
知事としての意見表明の時期や場所については「空港問題は永年の懸案事項である。今年度中に考え方をまとめ、国に提出したい」としたうえで、表明の形については「議会や関係者と相談して決めたい」と述べるにとどまった。
20日の特別委を傍聴した県民からは「何のための知事参加か分からない、単なる儀式ではないのか」という声も聞かれた。
知事発言で注目されるポイントはふたつ。ひとつは知事が現在の福岡空港について「ハブ空港として重要な機能を果たしている。国内21路線、海外も17路線が乗り入れており、国内、国際での乗り換えハブ機能としての役割を果たしている」と発言したことだ。海上新空港は24時間のハブ空港という推進派の意見もあり、この発言で、事実上知事が「増設」に傾いたとの見方も生まれてきそうだ。二つめのポイントは、知事としての意見表明の場所、方法について明言を避けた点である。3月26日の県議会最終日に意見表明するのか、あるいはその前、議会開会中に表明するのか、それとも記者会見など別の形で表明するのかであるが、状況を見ながら慎重にタイミングを計らざるを得ないということである。
議会での表明だけでは県民からの反発も予想される。なぜなら知事も県議会議員も県民から直接選挙で選ばれており、2元代表制を採る地方自治のあり方からも問題が生じてくるからだ。麻生知事を選んだ県民へ、直接的な説明が求められる。
いずれにしても県民の意見が反映され、納得がいく方法での意見表明が望まれる。