3日、準大手ゼネコン西松建設が設立した政治団体から、事実上の企業献金を受けたとして、民主党・小沢一郎代表の公設第一秘書が、政治資金規正法違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕されたが、捜査が自民党側にも向かう可能性が出ている。
西松建設系政治団体は「新政治問題研究会(95年設立)」と「未来産業研究会(98年設立)」。両団体ともに西松OBを代表者として設立され、06年の解散まで政治家の政治団体に対する寄附やパーティ券購入をおこなっていた。収入の原資を西松建設社員などからの会費や架空と見られる政治資金パーティによるものとしていたが、実際には違法に捻出した裏金など西松建設自体の金だったとされる。
「新政治問題研究会」「未来産業研究会」の政治資金提供の実態を調べたところ、政治家本人が代表を務める資金管理団体に対しては、小沢代表の「陸山会」の他に、自民党・森喜朗元首相の「春風会」と同・尾身幸次元財務相の「幸政会」への寄附が目立つ結果となった。
森元首相の資金管理団体「春風会」に対しては、「新政治問題研究会」から02年100万円、03年200万円(内100万円はパーティ券)、04年100万円、05年200万円、06年200万円の合計800万円。
尾身元財務相の「幸政会」には、01年130万円(30万円はパーティ券)、02年300万円、03年300万円、04年200万円、05年200万円、06年200万円で合計1,330万円となっていた。
また、ふたつの西松建設系政治団体は、自民党二階派の政治団体「新しい波」(代表・二階俊博経産相) に対しても、パーティ券購入の形で政治資金を提供していた。「新政治問題研究会」が05年246万円、06年220万円で計466万円、「未来産業研究会」が2年間で計312万円を支出しており、ふたつの西松建設系政治団体で総額778万円となっている。二階経産相側に対しては、別の政治資金パーティにも支出していた。
「新政治問題研究会」と「未来産業研究会」の収入原資が、事実上西松建設の金であったとするなら、「寄附」として扱われた政治資金提供のうち、政治家本人が代表を務める資金管理団体への寄附は、政治資金規正法で禁止された政党及び政治資金団体以外の政治団体に対する寄附(企業献金)だったことになる。もらった側に、西松系政治団体の収入原資が、西松建設自体の金であるとの認識があれば、小沢代表の「陸山会」同様罪に問われる可能性が生じる。
もともと、百万円単位の寄附やパーティ券購入を引き受けてくれる政治団体の素性について、知らなかったということは考えにくい。西松系のふたつの政治団体は、その他の政治家の政治団体へも政治資金を提供している。事件の拡大は、深刻な政治不信を招くものと思われるが、総選挙を前に全ての膿を出すべきだろう。