16日に熊本地裁へ民事再生法の適用申請を行い、17日に保全命令を受けた美少年酒造(株)(熊本県下益城郡城南町、緒方直明社長)のスポンサーに「味千ラーメン」を国内外で展開する重光産業(熊本市、重光克昭社長)ほか2社が内定したことが判明した。重光産業は、熊本県を中心に国内103店舗余、中国や東南アジアなどの海外で375店舗の計約478店舗を運営。近年はマスコミでも盛んに取り上げられるほどの急成長企業である。重光産業以外の2社は健康食品会社の「エヌ・エル・エー」と、過去に酒蔵を再生させた事のある企業であるが、今回は黒子に徹したいという理由から企業名の公表はなされていない。重光産業側は、明日22日に熊本市内で記者会見を行い、詳しい内容を発表するとしている。
データマックスの取材に応じた重光産業の担当者は、「(スポンサーになることが)内定しているのは事実です。しかし、これから枠組みを決めたり、具体的に煮詰めていく段階で詳しい事は現段階では話せない」とコメントしている。今回、支援に手を上げた背景について聞くと、「熊本で100年以上の歴史のある企業は少ない。伝統ある企業が消えていくのはいかがなものか。今回、手をあげさせて頂いたのは、熊本の伝統ある企業の支援という形ではなく、“応援”と捉えています」という。
中国や東南アジアでラーメン店を展開している同社が、清酒を販売する事で売上げアップなどといった相乗効果が見込めることや、海外に熊本ブランドを紹介することで、熊本県のPRにもつながると見られる。
半年の間に2度の地獄を見た美少年酒造であるが、スポンサー企業の内定で再生への道が開けてきた。今後はブランドの信頼回復へ向けての動きが注目される。
【矢野 寛之】
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