<『最初は銀行から潰された』から債務超過隠しで姿を現せられず>
取材を重ねるほどに疑念は募るばかりだ。「どうして高松さんは恩人たちへ釈明に来ないのだろうか?」「あの紳士の高松社長が雲隠れするのは不思議だ」「経営を投げ出すほど無責任な男ではないはずなのに?」とさまざまな疑問を関係者が指摘する。当初は「銀行が難題を吹っかけて高松さんは頭にきた」という説が流れたが、それは15日の夕方で消えた。次に囁かれだしたのは「20億円以上の債務超過を隠していたことで、今後の資金繰りの目処が立たずに高松さんは放り投げた。だから、親しい人ほど連絡が取りづらいのであろう」というものだ(18日の「耳より情報」に既報)。
たしかに関係者からの証言で、高松組は2年前から安値受注をしてきたようだ。特にこの半年ほどは異様にダンピング受注が目立つ。安い分、『施主から前途金を貰っていた』と水面下情報が流れていた。そこに怒りの取引先の声をキャッチした。「中洲のうなぎ屋のビルの新築工事で、高松組は全額代金回収をしている。それなのに、その現場の払いがなされていない。うちはその工事しかやっていない」というものだ。
このうなぎ屋には最近、社員同僚5人で食べに行ったばかりだ(高松組を立てる気持ちでだ)。「貰ったのに払わなかった」という批判もおかしな話である。徹底的に調べると、15日の支払いでうなぎ屋の工事代金の決済がなされる予定であったそうだ。だから、初めて現場取引した経営者の怒り心頭の気持ちは理解できる。ここである閃きが走った。「ひょっとしたら、前取り回収でトラブルを起こした案件があるのではないか」と。
<2番札よりも7,000万円>
刎頸の友が、高松に仕事を出すとかどうかと言っていたことを思い出した。早速連絡してみると、閃きは『ピンポーン』であった。友は電話口で困った様子であった。開口一番、「やられたよ。前途金を7,000万円払ったが、工事は進んでいない」という一声であった。「高松組には3.5億円で発注した。その20%の7,000万円を支払った」のだ。
「ところで次の安い2番札はいくらだった」と畳み込むと、「4.2億円といくらか200万円か300万円ついていた」と答えた。「ということは、高松組が20%も安くして契約したのだな」と追及した。
「俺も建設業のことに関して少しはわかっているつもりだ。これで飯を食ってきたのだから。安いのは有難いが、一抹の不安を抱いた。この建築の原価は、どうみても4億円はかかる。5,000万円の赤字かな」と友人は本音を語る。「用心深いお前が『赤字を出すなら済まないな』という罪滅ぼしのつもりで7,000万円の前払いをしたのか。結果は大事になってしまったなー」と少し同情した。「いやー、一方では『ヤバい』という判断が働いていたから、業者の保証を頂戴している。まったく懸念するところでないから安心をしている」と友は経緯を説明してくれた。高松組の水面下での資金繰りの現実を垣間見たのだ。
(つづく)
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