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高松組特集

【緊急座談会】高松組破綻を徹底議論 波紋広がる地場建設業界の行方(2)
高松組特集
2009年5月23日 08:00

<経営者としての矜持>

 ―先ほどのお話からすれば、今回の破綻劇は直接的には銀行主導ではないということになります。しかも、決済資金の調達が必ずしも無理ではなかったということであれば、事業停止は経営者である高松社長の腹一つ。仮にそうであれば、下請け業者への支払いが一年のなかで最も多い時期でもありますし、身勝手とは言えないでしょうか。「筋道を通し、先輩を立てる律儀な人」という、非常に高い人物評だと聞いているのですが。

 緒方 そうですね。そういう意味では、当日の対応などをみても非常に意外な感じがしました。先ほど出たように、銀行に潰されたのではないかという噂が流れたのも、当日いきなり支払いができないという理由で会社がドタバタの感じだったので、周りが「融資を受けるはずだったのに手のひらを返されたのではないか」と憶測し、銀行に潰されたという噂になっていたのでしょう。しかし実際はそういうことではなく、対応としては非常にお粗末なかたちだったと思います。また建設協力会など業界団体のトップを務められたほどの方なので、その二重の意外性というか、いろんな憶測ばかりが先行して実際はほぼ放ったらかしの状態だった、というのが15日の実情だと思います。

 石崎 同業者社長のコメントなのですが、金融機関との折衝は神経を使うし、非常に疲れるのだそうです。「大変なのは分かるが、社長としてはそれをするのが当たり前だし、こういう事態だからこそやらなければいけない。労力を使う金融機関との折衝に嫌気が差したのではないか。気持ちは分からなくもないが」との話でした。

  しかし、通常であれば経営者は、自らメインバンクに今の資金繰りなどの報告や相談を行なうもの。15日の段階でそれがなされていないというのは、非常に疑問に思います。たとえば、ソロンという会社の田原社長は、病身にもかかわらず、少なくとも一般債権者には迷惑をかけてはならない、との思いから、必死に在庫を売り、何とか会社の清算の目処をつけようと奔走しておられます。世話になっている銀行にも説明回りを欠かさないとのこと。それがないというのは、常識を逸脱していると思います。

 石崎 もちろん、以前から銀行とのやり取りをないがしろにしていたわけではありせん。しかし、指摘の通り、本来社長が出ていくべきところ全部には行っておらず、大津常務と一緒にやっていたと言われています。この方もひとつ鍵を握っているのではないでしょうか。

<ユニカからの支払いは>

 ―巷で囁かれているもうひとつの理由として、ユニカから14億円余りの支払いを受けられずに追い詰められたという話があります。同じくユニカの物件を施工する九州建設など、他のゼネコンにも波及しかねない話ですので、皆が関心を持っています。この点はいかがでしょうか。

 石崎 まず、ユニカの香椎浜の物件と高松組の関係を整理しましょう。ユニカと高松組との契約では、建築代金の支払いについては着工時、中間期、それと最後の決済という形で結ばれており、最後の決済の日付が6月5日。これはリプラスが破綻する前から契約の約定は変わっていません。もちろん、リプラスが破綻したことで当初の一棟売りの計画が崩れ、新たな出口探しに動いていたことは周知の通りです。先日、ユニカの緒方社長と高松社長が電話でのやり取りをし、緒方社長からは「出口が破綻したことで心配はある。ただ、一緒になって売り先を探しているし、売れるだろう」と聞いていました。何度か決まりかけては流れ、決まりかけては流れのかたちのなかで、高松社長もユニカの緒方さんと一緒に動いて売り先を見つけるということをやっていました。
 また、ユニカの緒方社長は香椎浜の件について、「高松組、九州建設を含めて週に1回会議を開き、綿密に打ち合わせをしている。うちの資金繰り、資産を含めて全部さらけ出しているし、6月5日の決済の目処はある程度つけ、最後の最後に頼むようなことまで含めて考えている。それでも高松組の不安もあるので物件の保全をさせる」と答えています。保全のための登記の設定をする旨の話をして、書類まで交わしたのが13日。やり取りも終えて、資金が手当てできる形にしたので、なぜこうなったのか分からない、というのが緒方社長の見解でした。
 加えて、「一般債権者、通常の支払いの分を含めて、約定を違えたことはない。いろいろと協力をしてもらう部分はあるが、最後の最後には約束を守ってきている。今回の件もあるので、6月5日の支払いは高松組の資金を最優先に動いている」、「香椎浜プロジェクト全体については、その他の設計料などあるが、まだ着工していないC棟、D棟、E棟など、設計に入ったり確認が下りたりしている物件もあるため、設計料を含め現時点で約3億6,000万円を支払い済み。今月には残りも支払うことになっている」とも話されていました。

 ―巷で言われている話と、実際にはかなり大きな隔たりがあるようですね。マンション不況とデベロッパーへの不信感が話を大きくしている感は否めません。ユニカがそこまではっきり言っているのに、なぜ高松組は投げ出したのでしょうか。

 鹿島 先ほどの話に少し戻るのですが、やはり金融機関との折衝を疎かにしたのではないでしょうか。川口工務店の倒産のときにも同じことを言われていました。本来、もっと他の頼むべきところにキチンと頭を下げていればできたはずです。多かれ少なかれ、今ゼネコンやデベロッパーは金融機関との厳しい対峙を余儀なくされています。そのなかでやるべきことをしてこなかった。2代目や3代目に見られる「頭を下げれないプライド」というのがあったのではと思います。

  2代目や3代目の苦悩と選択ということであれば、九州八重洲興業の梶氏の話が思い起こされますね。ちょうど1年前に、西部ガスリビングに会社を売却して東京に帰ってしまいましたが、もう少し踏ん張れなかったのかと周囲は残念がっていました。聞くところによると、高松社長は梶氏の話に共感を覚えていたということです。残念ながら、最後のもうひと踏ん張りができなかったところも同じになってしまいました。

(つづく)


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