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高松組特集

【緊急座談会】高松組破綻を徹底議論 波紋広がる地場建設業界の行方(3)
高松組特集
2009年5月25日 08:00

<際立つ安値受注>

 ―ここまでの話によると、巷で囁かれた二大破綻原因である銀行主導説、ユニカ説、ともに決定的なものではなかったようです。最終的には高松社長の腹一つであったとしても、そこに至る過程での重要な点は何であったとお考えですか。

  やはり安値受注が大きいでしょう。高松組の調査などで社長のコメントを聞いていると、売上高が07年3月期は100億円、08年3月期は80億円です。80億円を死守しなければやっていけない、という発言もありました。他の同業他社でいうと、未来図建設などでは75億円をピークに今後は45億円、3分の1の人員整理に取り組みました。高松組に関しては、80億円を維持しなければやっていけないということは、借り入れなど諸々を含めて、80億円維持のために躍起になってダンピング受注をしなければならない。そういう構造のなかで、取引業者が不信を持って「駄目」の烙印を押し、噂が一人歩きしたのではないでしょうか。

 石崎 同社のダンピングに関しての話はいろいろと聞いています。1カ月以内に契約する予定で、ほぼ高松組に決まっていたと聞かれる博多駅の物件。これも入札・落札価格が非常に低く、とてもじゃないが他社が手を出せない値段であったといいます。その他の物件でも、とても他社が手を出せない金額で持っていく。当面の資金が枯渇していて、とにかく受注を確保しないと回らない様になっていたのでは、という話は聞いています。

 緒方 4年位前に、分譲マンションを中心に受注を行なっているゼネコンのレポートを作成した際にですが、データでは分譲マンションを中心に受注を受けているゼネコンの粗利は大体5%、経常で1%となっていました。その後業界には、材料費が高騰する半面受注単価が下がるといった厳しい状況が訪れるのですが、マンション市況が良い間はそれでも受注の多さで利幅の薄さをカバーできていました。しかし、サブプライムローンやリーマンショックなどでマンション市況がしぼんでしまうと、さらに受注単価が下がって元々少ない利幅がなくなります。業者側からも見ても、とても採算が取れる事業ではないということは分かっていたと思います。

 ―破綻に至った経緯をまとめると、協力業者の不安は多かれ少なかれ共通し、根っこには過度の安値受注が横たわっていたということですね。

 鹿島 ある物件を安く取りすぎたことで、取引業者が協力せずに仕事が立ち腐れになっていた、という案件もあると聞きます。今回の取引で1億円以上焦げ付く可能性があるという、高松組と付き合いをしていたある業者も、「あの案件は安いからみんな協力していないですよね」と言っています。

 石崎 ということは、高友会加盟業者のなかでも、2月、3月、4月の段階で「その単価では引き受けられない」という動きがあったことになります。付き合いができないということもさることながら、そんなに安く取って高松組はどうなっているのか。こういう潜在的な疑問がユニカや銀行の動きと併せて頭のなかで結びつき、「6月5日にダメになる」という噂となって一人歩きしたのではないでしょうか。

 ―資金繰りの面では限界に達したとまでは言えない状況ながらも、噂の類が巡り巡って高松社長の今回の決断を後押ししてしまった、という経過ではなかったでしょうか。

 鹿島 高松組は去年の7月くらいからマンションの改修工事に乗り出していたということです。同業他社の話を聞くと、もちろん安値での入札をかけていたようなのですが、それよりも入札指名の段階で各管理組合が高松組はやめておこうという形で入札の指名から外されていた案件もあったそうです。マンションの管理組合は一般の方々の集まりですし、そういう意味では、与信管理の素人とも言える一般の方にまで高松組の信用不安が浸透していたと見ることもできるのではないでしょうか。

(つづく)

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