一時期は県内で100誌を超え、全国でもナンバーワンの媒体数を誇っていた福岡県のフリーペーパー業界。驚異的な発行部数と費用対効果で一世を風靡し、有料情報誌を蹴落としていったが、近年はその勢いも衰えをみせ、各誌、その存続を危ぶまれる声が聞こえてくるほどである。
あるフリーペーパーは発行部数を武器に広告売上を伸ばしていたものの、広告代金の未回収に苦しんでいるという。「特に飲食業の広告費不払いが多い。『来店客が減ったうえに、宴会なども少なくなってきているから払えない』と言っているが、ウチだって生活がかかっているからたまったもんじゃない」と女性経営者は頭を悩ませる。たとえば、以前は1枠10万円で取り引きされていた広告も、景気の悪化から簡単に受注できなくなった。さまざまなサービスを付けたうえに料金を値引いて契約したにも関わらず、回収ができないといった悪循環に陥っているのである。
広告1枠作成するだけでも、営業記者が取材して記事を書き、デザイナーが作成している。それなりに人件費がかかっているのだ。だが、フリーペーパーの主要顧客である飲食業界やエステサロン業界自体が苦境に立たされている現状で、従来型のビジネス(広告ターゲット)ではもはや通用しないということを物語っているのではなかろうか。
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