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サントリーとキリンの統合は成るか 最大のハードルは、サントリー創業者一族の同意(2)
東京レポート
2009年7月16日 08:40

所有の構図

 現代は創業者の孫・ひ孫の時代。サントリーHDの会長兼社長は敬三氏の長男、佐治信忠氏(63)。副社長の鳥井信吾氏(56)は、創業者の三男で副会長を務めた鳥井道夫氏(86)の息子。次期社長の有力候補と目されているのが執行役員の鳥井信宏氏(43)。三代目社長である鳥井信一郎氏の長男で、鳥井家本家の四代目の御曹司だ。M&Aを推進する戦略開発本部長を務める。
 佐治社長がキリンとの統合を実現するには、創業者一族の同意を得ることができるかにかかる。創業者一族がサントリーを所有しているからだ。
 サントリーは今年4月に純粋持株会社制へ移行。旧サントリーの株式移転で設立された持株会社のサントリーHDは未上場の同族企業という実態は変わらない。
 株主は51人。筆頭株主は創業者一族の資産管理会社、寿不動産(大阪市北区)で、発行済み株式の89.33%を保有。2位はサントリー持株会(大阪市北区)の4.51%。
 寿不動産は1956年9月の設立。社長は佐治信忠氏が兼務。サントリーの株式を保有するほか、賃貸マンションを経営。08年12月期の売上高は8億5,200万円。最終利益はサントリーの配当収入により27億900万円を計上。それが出資者である創業者一族への配当原資になる。
 寿不動産の資本金は1億2,234万円。株主は22人。筆頭株主は、財団法人サントリー文化財団と鳥井春子氏(98)がそれぞれ9.21%。春子氏は創業者の長男・吉太郎氏の妻で、阪急の創業者・小林一三氏の長女。創業家の大御所だ。3位は、佐治信忠氏、鳥井信吾氏、酒井朋久氏、佐治英子氏が各4.97%。鳥井信宏氏、坂口美木子氏の4.84%が続く。
 創業者の末裔である鳥井・佐治家が、資産管理会社の寿不動産を通じて巨大なサントリーグループを所有しているのが同族経営の構図である。
 企業風土が大きく異なるキリンとの統合に、創業者一族はどう答えを出すか。サントリーと株主が経営統合でどんなメリットを得られるかを、キリンが具体的に提示できるかに成否がかかっている。

鳥井・佐治家計譜

~了~

【日下 淳】


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