写真は、無駄な公共事業として全国的に有名になった福岡県八女市にある朧大橋である。
今月1日、改めて現地を訪れた。
八女市内から朧大橋を目指せば、曲がりくねった上りの道がつづき、集落を通過すれば、次第に清浄な空気に包まれる。山の中なのだ。さらに走ると、突然異質な空間が現出する。そこに話題の橋はあった。
辺りを圧するその「威容」は、山間部の風景を切り裂き、「朧(おぼろ)」という言葉が冗談に感じるほどの存在感を示している。「異様」と言い換えたほうがぴったりする。
30分ほど眺めていたが、自転車の選手が先導車とともに何度も橋を往復しているほか、通過した車は2台ほどである。自転車の練習場としては確かに危険の少ない道路なのだ。
50億円近くの税金を投入した橋でありながら、通行する車両の少なさは歴然。交通量に見合った建設物とは到底思えない。そもそも、ここに橋を架ける必要があったのかどうかさえ疑問である。
朧大橋に至る道路は、八女市側からも、久留米市側からも未整備である。橋に続く道は、車がすれ違えるギリギリの幅しかない部分が多く、先日の集中豪雨で起きたと思われる小規模ながけ崩れが数箇所、そのままになっているほどだった。なぜこうした道路の先に、不釣合いな巨大橋を建設する必要があったのだろう。
実は、そうした疑問への答えこそが自民党的手法の実相であり、総選挙で福岡7区の有権者に問われる大きなテーマのひとつなのである。
つづく