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レクリス 超高級外車販売ビジネスの崩壊(1)【倒産を追う】
特別取材
2009年8月 3日 08:59

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2009年5月末、(株)レクリス周辺は急に慌ただしくなった。「どうやら法的手続きの準備に入ったらしい」―すでに一部報道でも同社の動向は注目されていたが、ついにXデーを迎えた。「一時的な詐欺に遭ったとしか思えない」、「順調に伸びているように見えていたのに」という取引先の、一種の期待ともいえる思惑は一瞬にして崩れ去った。


代 表:藤堂 信太郎
所在地:福岡市西区小戸3-50-14
設 立:2001年8月
資本金:5,000万円
年 商:(08/5)約96億5,000万円

富裕層の心をつかむ

 (株)レクリスは、現代表の藤堂信太郎氏が1997年10月に創業。当初は、若者およびカーマニアを対象としてレーシングパーツ、エアロパーツ、高級オーディオなどのチューンナップを主に手掛けていた。01年8月に法人改組し、ベンツ、フェラーリ、ポルシェといった高級外車の輸入販売を手掛ける一方で、韓国・ドイツ・アメリカに海外現地子会社を設立して、直轄で販売と仕入れをしていた。

 その後は中古車、サスペンション、マフラーなどチューンナップパーツも取り扱い、ミニカーなどのホビー事業にも進出。さらに、「博多にらそば熊楠家」(ラーメン店)、「炭火旬彩炉兵衛」(炭火焼きダイニング)、「鉄板高虎」(鉄板料理)などの飲食事業にも進出し、沖縄ではレンタカー事業を開始するなど、一気に多角化戦略を進めていった。08年5月期には、過去最高となる約96億5,000万円の売上高を計上している。

 藤堂氏は海外に自ら出かけて高級外車を仕入れ、豊富な人脈で全国の富裕層を主な販売先として開拓していった。

 その藤堂氏の母は、中洲で有名な高級クラブ「ロイヤルボックス」の藤堂和子氏。「販売先の開拓には和子氏の力が大きかった」という声もあるが、「たしかに500万円~1,000万円クラスの車のときはそれもあったかもしれないが、やはり信太郎氏が独自に顧客をつかんでいったと見るべき」という関係者もいる。

 とくに高級外車は仕入れ価格が為替相場で変動し、利益も大きく左右されるため、藤堂氏は夕方に出勤して夜中まで相場に気を使いながら仕事をしていたと聞かれる。「それほど車が好きだったようだ」と藤堂氏をよく知る人物は言う。

 また、同社の販売力の源泉は、仕入れから販売までのスパンの短さで、とくに希少な車なら通常数年間かかる納車を、わずか数カ月で実現していたという。「そこにプレミアムをつけて販売し、利ザヤを増やしていた」と関係者は語る。

 その一方で、03年にはレーシングチーム「チームレクリス」を結成。05年にスーパーGTでGT300クラスシリーズチャンピオンを獲得し、07年にはF3マカオグランプリでチャンピオンを獲得するなど、華々しい実績を残していた。

~つづく~

【大根田康介】

【本稿は6月25日号「IB」に掲載分を一部加筆修正したもの】


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