福岡市が執行する業務の信頼性を根本から揺るがす問題が勃発した。公文書の改ざんである。
今月13日、データマックス取材班は総務企画局国際部の海外出張に関する公文書について情報公開請求した。改ざん問題は、公開された文書のうちの一枚から始まった。
2008年3月30日から4月8日まで9日間の日程で、「福岡アジア文化賞」受賞内定者との協議のため、職員2人がスリランカに出張した。出張命令書は2人の職員に出されているが、「復命書」に記された出張者の名前は1人の職員のものだけである。ともに出張したはずの係長の復命がなされていないのだ。
この点について担当職員に説明を求めたところ、
1、問題の復命書には部長、課長、係長の決裁印がある。
2、出張した係長は、復命した職員の上司だった。
との2点の理由から、「問題はない」との見解を示した。しかし、問題の公文書からは係長の復命が確認されないとして、さらに決裁の仕組みについて説明を求めた時点で、書類に「瑕疵(かし)がある」ことを認めた。欠陥のある文書だということだ。その上で担当者は、改めて今後の方針について回答するとしていた。
これを受けた25日朝、担当課から「正しい出張復命書」(担当職員による表現)が提供された。間違いのあった復命書に、復命漏れしていた係長の名前が加えられ、押印されたものである。本来、福岡市の出張復命書には、復命する者の名前が連名で記入され、それぞれが押印、これに決裁した上司の印鑑が並ぶ。しかし、同日提供された「正しい出張復命書」には前述のとおり係長の名前と印鑑が加えられただけで、その他の部分は原本のままなのだ。後付けで係長の名前と印鑑を加えたものの、新たな決裁を通っていない。明らかな公文書の改ざんである。25日午後、改ざんした文書を提供した現在の係長、課長に対し、公文書の改ざんと見なすが間違いはないかと問いただしたところ、これを否定することはできなかった。事実上、改ざんを認めたことになる。
役所仕事の信頼性は、残された公文書によってのみ担保される。問題の復命書は、係長、課長、部長と3回もの確認、決裁を経たものだ。「気付かなかった」で済む問題ではない。その上、瑕疵を指摘されたあげく、文書を改ざんして記者の追及をごまかそうとした行為は犯罪に等しい。この問題について、さらに追及していく。
(つづく)
【市政取材班】
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