福岡市職員の海外出張に関する取材過程で明らかとなった福岡市総務企画局国際部による公文書の改ざん。この行為に「虚偽公文書作成」などの疑いが浮上した。
今回の問題は、データマックス取材班が情報公開請求によって入手した海外出張の復命書に瑕疵が判明、これをごまかすために、担当職員が上司の決済を受けることなく、当該復命書に勝手に手を加えたというものだ。
担当職員は、取材班から復命書の瑕疵をとがめられ、何とか「正しい復命書」(担当職員の表現)を見せて事を収めようとした。新たな文書を記者に閲覧、もしくは手交する目的をもっていたということだ。つまり「行使」する目的を持って復命書の原本を改ざんし、写し(コピー)をとったということになる。改ざんとは「変造」と同義である。
刑法第156条は「虚偽公文書作成」について次のように規定する。
『公務員が、その職務に関し、行使の目的で、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は文書若しくは図画を変造したときは、印章又は署名の有無により区別して、前二条の例による』。「前二条」とは詔書偽造と公文書偽造を指し、同様に罰せられるということだ。
さらに第158条には「偽造公文書行使」についての規定があり、
『第百五十四条から前条までの文書若しくは図画を行使し、又は前条第一項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は不実の記載若しくは記録をさせた者と同一の刑に処する』とある。
つまり、総務企画局職員の公文書改ざん行為は、刑法に規定する『虚偽公文書作成』と『偽造公文書行使』にあたる疑いがあると見られるのだ。
行政の信頼性を失墜させた公文書改ざんの罪は、決して軽いものではない。しかし、問題はこれだけではなかった。
(つづく)
【市政取材班】
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