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特別取材

鳩山民主党政権誕生に向けて(4) [副島隆彦の学問道場]
特別取材
2009年9月 7日 08:00

 外国のメディアに、最近、日本分析の重要な記事が載った。
それは、英国を代表するインテリ向けの日刊経済・金融紙の、フィナンシャル・タイムズの日本支局長、デイヴィッド・ピリング氏が書いたものだ。
 実に正直な、そして現下の情勢を語って余りある、すぐれた日本分析であった。
 記事の概要は、『彼等は戦時中の罪悪感と戦後の米国依存から脱して、対米同盟の再調整を求めるだろう。それは困難であると同時に、彼らは日本のアジアとの結びつきと、中国の増強される地域的影響力を認める安全保障同盟を構築することに努めるだろう。某米国人政治コメンテーターは、日本民主党の対米姿勢をこのように語った。「お座り、お手、吼えろ!と言っても、彼らはもうきかないだろう」』というものだった。
 実に味わい深い、今後の日本国の進路と言える、すぐれた分析である。日本は、ずっとアメリカの犬にされていたのだ。この屈辱を自覚したくない者はそれで構わないが、自分は犬でも構わない、という己のその歪みきった卑屈な精神をこそ、そろそろ疑うべきだ。
 だから、鳩山民主党政権を何としても2年間、できれば3年間続けさせれば、その時、日本の愚劣な官僚支配政治を本当に終わらせることができる。官僚たちの意識的な、政権破壊のサボタージュ(妨害行動)を正しく押さえつけて、日本国民の代表である議員(政治家たち)が官僚という高級公務員たちを正しく叩きのめして、本来の政治家(国民の代表)たちの行政の執行のための下働きの事務員、「法律に基づく行法をする」公務執行員という身分に、正しく落とすことができる。
 今年5月に時事通信が報じたとおり、官僚たち(高級公務員)というのは、なんと毎年毎年2万5,245人もいて、こいつらが4504にも上る外郭団体、特殊法人に「天下る」のである。そのために、毎年12兆1,334億2,500万円の国費が使われている。この事実を、私たち日本国民の公知としなければいけない。
 天下りを廃止し、官僚たちの特権をはく奪し、政治家たちの言うことをおとなしく聞く「業務執行事務員」に作り変えるためには、どうしても最低2年かかる。「政治は政治家(国民の代表、立法者たち)がする」のであって、「官僚たちに政治をやらせてはいけない」のである。この点が、日本国の大間違いなのである。
 官僚たちから徹底的に、彼らが不正・違法に握りしめている政治権力を奪い取らなければならない。
 これから述べる改革方針(日本改造プログラム)は、佐藤優氏と私の意見が一致したことなのだが、以下のとおりとなる。
 まず、財務省にはまだ急いで手をつけない。急に財務省の主計官たちや主税局に手を出す(改革を断行する)と、国家予算の執行(=これが政治・行政の中心部分)に支障をきたすので大変なことになる。政権に打撃を与える。
 だから、すぐには財務省には手を出さない。新設される国家戦略局の管理下に財務省も置くべきだが、手順としては後回しにする。 
 それよりも、外務省、厚生労働省・社会保険庁、総務省、法務省のこの4つを徹底的に改革する。まず、事務次官をそれぞれ2人ずつ、続けざまに首を切る。事務次官(各省のトップ)を続けて2人ずつ飛ばすと、官僚制度はガタガタになる。官僚支配体制なるものは、たったこれだけで大きな機能麻痺を起す。それほどに脆いものなのだ。
 彼ら官僚(高級公務員)たちから魔力を奪い取れば、それまで恐ろしい竜や大蛇の姿をしていたのが、本来のトカゲか毛虫になってしまう。この魔力自体が、日本国民に抱かせていた彼ら官僚どもが詐術で作った、国民騙しの幻想だ。この幻想をはく奪すれば、あとには、地味でまじめな業務遂行公務員たちが残る。 
 公務員たちは、ただしく政治家の言うことを聞いて、忠実に動けばそれでいいのだ。政治家たちは、選挙によって国民の洗礼を浴び、信託を受けている。
 だから私は、小沢一郎にあと3年は生きていて欲しいと本当に思う。これだけだ、と言っていい。敵たちにとって恐いのは小沢一郎だけだ。小沢に急に先立たれると、私たち日本国民はすぐに、「テルミドールの反動」に見舞われることになる。思想家である私には、このことがよく分かる。 
 鳩山や岡田や菅では、悪人(ワル)たちが策動を巡らして、ゴロツキ政治屋と極悪官僚たちとメディアとアメリカの謀略部隊が仕組んで襲いかかれば、半年と保たないで政権を転覆させられる。今のところ、小沢一郎が手塩にかけて育てている、若い、経験の未熟な政治家たちでは、太刀打ちできない。
 なんとかこれから3年、新政権の状態を維持できれば、きっと素晴らしい人材が育つ。それまで、小沢一郎に何としても生きていて欲しい。私の今の願いは、極端に言えばそれだけだ。

(つづく)

副島 隆彦【そえじま・たかひこ】氏
1953年5月1日、福岡市生まれ。早稲田大学法学部卒業。銀行員、代々木ゼミナール講師を経て、現在は常葉学園大学教授。政治思想、法制度論、経済分析、社会時事評論などの分野で、評論家として活動。著書に『時代を見通す力』(PHP研究所刊)、『恐慌前夜』(祥文社刊)、『暴走する国家、恐慌化する世界』(佐藤優氏との共著、日本文芸社刊)ほか多数。日米の財界、シンクタンクなどに独自の情報源を持ち、日本人初の「民間人・国家戦略家」として、日本は国家として独自の国家戦略を持つべきだ、と主張している。副島国家戦略研究所(SNSI)主宰。

副島隆彦の「学問道場」
http://www.soejima.to/

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