「たんと」の店名で北九州、筑豊地区で食品スーパー(SM)を展開していた西原食品(株)は7月30日、民事再生法を申し立て、事実上倒産した。SM業界は、ディスカウントストアやドラッグストアなど新手の勢力も加わった競争で消耗戦の様相を強めており、中堅・中小は体力をすり減らしている。不況の深刻化で業者の整理淘汰を伴った業界再編がさらに加速する気配だ。
COMPANY INFORMATION
代 表:西原 寛
所在地:福岡県福津市中央3-2-2
設 立:1967年3月
資本金:5,000万円
年 商:(08/9)53億7,812万円
SMでは最後発
西原食品(株)は、西原彰前社長(56、7月13日付で社長退任)の実父が福間町(現福津市)で営んでいた精肉店が前身。寿屋や地元スーパーにテナント出店していたが、家業を継承した彰氏が実弟の寛氏(現社長)とともに1994年、SMに進出した。SMを始めた理由について、西原社長は「テナントだと、大家のスーパーの都合に左右される。大家が悪ければ客も集まらない。それなら、いっそ自分でやろうと思った」と話している。
福岡県内のSMでは最後発で、試行錯誤しながらも、古賀、前原、水巻、飯塚、中間市通谷と出店。スーパー経営のノウハウを学ぶため、熊本市の「鮮ど市場」と提携したこともある。「鮮ど」は自社の店名を使えなかったり、設備・備品の購入先を指定されるなど制約が多いという理由で02年提携を解消し、自力展開に切り替えた。
西原社長は京都大学農学部出身で、商売人というよりも学究肌タイプ。勉強熱心で、繁盛店があると聞くと、東京や大阪でも足を運んで教えを請う一方、人材育成の重要性に早くから着目し、社員教育にも情熱を傾けていた。
【工藤 勝広】
【本稿は8月6日号「IB」に掲載】
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