データマックスが、福岡市に対する情報公開請求によって入手した直近４年間分の公文書から、市職員によって恒常的に不適切な海外出張が行われてきた実態が浮かび上がっている。

「ボルドー・ワイン祭り」
　2006年６月、福岡市が姉妹都市関係を結ぶフランス・ボルドーで開催された「ワイン祭り2006」に、中元副市長（当時）や市関係者らが参加した。しかし、副市長ら一部の職員だけが帰路、余分にパリに１泊していたことが明らかとなった。本来の出張目的から外れたパリ訪問と見られる。

副市長チームの動きに注目
　06年６月28日から７月４日まで、パリ経由で姉妹都市ボルドーの「ワイン祭り2006」に参加するため公費による７日間の出張が行われた。市訪問団は次のように大きく３チームに分かれる。
・「ワイン祭り2006」式典のパビリオンに参加する市民を引率する職員を含むチーム。
・交流事業全体を企画・運営したチーム。
・中元副市長（当時）夫妻と、同行した国際部職員2名を含むチーム。
取材班は、特に３チーム目の動きに注目した。

派遣職員視察？
　当時、全国の自治体が加盟する「（財）自治体国際化協会」（本部：東京）のパリ事務所には、福岡市の職員１名が派遣されていた。中元副市長らのチームは、28日のパリ到着時、同協会の事業所長主催レセプションに参加し、そのままパリに宿泊。協会派遣職員１名は翌29日から１日まで、「ボルドー・ワイン祭り」におけるパビリオン出展チームの手伝いのためボルドーへ移動する。
同職員がパリの協会に戻った７月２日、中元副市長らだけが、再度パリ滞在となる。協会に派遣されている職員の仕事ぶりを見るためだったとの話もあるが、副市長夫妻に職員２名が加わって派遣職員の仕事ぶりを視察するという構図は考えにくい。はじめからパリに行く目的で、同協会視察の名目をつけたと見る方が自然だろう。
　
食い違うパリ滞在の理由
　一方、このパリ滞在について、副市長に同行した当時の国際部長は、データマックスの取材に対し、2016年オリンピックの福岡誘致に向けた協力要請のためだったと回答している。「自治体国際化協会」への派遣職員視察という話とは食い違う。当時、オリンピック誘致に関する業務は市民局が主導しており、他の部署で行うべきものではなかったとの市関係者の証言もある。第一、「自治体国際化協会」とオリンピック誘致とは結びつかない。同協会には、オリンピック誘致における日本国内の対抗馬だった東京都も参加しており、福岡だけに力を貸すことなどできない相談なのだ。ましてや、そのパリ事務所に協力要請をする意味などない。

　副市長らのパリ訪問は、観光目的だった可能性が否定できないのである。

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