決済印なし・修正なしの旅行命令書 |
計算間違いが修正された旅行命令書 |
13日、出張の命令権者である課長の決済印も、旅行者である市職員自身の印鑑もない「旅行命令(依頼)書」がなぜ今ごろになって出てきたのか、という疑問点を中心にアジア文化賞担当課に再度、説明を求めた。
驚いたことに、担当課長と同席した職員は、問題の旅行命令書を情報公開の対象から「省いていた」と言い出した。命令書に記された広州市駐在職員については「海外出張」とは考えていなかったので、役所側の勝手な判断で省いたというのだ。
しかし、取材班は「海外出張に係る全ての旅行命令書と復命書」の公開を求めたものであり、公開すべき文書を勝手に省くことは許されない。念のため情報公開から漏れた文書が何枚あるのか確認したところ、勝手に省いたのは問題の文書1枚だけだという。ずいぶん都合のいい話である。これでは、何か隠していると思われても仕方がないだろう。
案の定、問題の旅行命令書には、さらに大きな間違いが見つかった。この命令書は、08年8月、香港で行われたアジア文化賞受章者発表記者会見の応援のため、広州市駐在の福岡市職員に出されたものだ。決済印のない命令書に「旅行者」として記されたその福岡市職員のほか、アジア文化賞担当課から2名が出張している。
記者会見終了後、その2名のうち、当時の国際部長だけが香港から広州市へ移動する。広州への移動が記された国際部長の旅行命令書には、香港から広州への旅行費用が記されているが、随所に訂正がなされていた。例えば、備考欄に記された香港・九龍から広州市に至る旅費の金額については、「九龍~広州 190香港ドル=3211円(1香港ドル=16.09円)」のうち、『3211』が横線二本で消され、『3058』と手書き修正されている。「鉄道賃又は船賃」の欄も同様に金額が訂正されていた。命令書作成時に、計算を間違えたもののようだ。
しかし、今回問題になっている旅行命令書には修正がなく、備考欄は「九龍~広州 190香港ドル=3211円(1香港ドル=16.09円)」のまま。「鉄道賃又は船賃」の欄も修正がないまま、精算がなされていた。明らかに不適切な支出で、渡し過ぎた分は返金の対象だ。出張そのものの真偽さえ証明されていない。
最大の疑問は、なぜこの文書が監査で引っ掛からなかったのかである。
(つづく)