旅行命令書はなかったのではないか?そうした疑問が浮上している。
決済印がない上、旅費計算まで間違ったままの「旅費旅行命令(依頼)書」の存在は、福岡市総務企画局国際部アジア文化賞担当課の無節操ぶりを示している。文書改ざん、印鑑漏れなど杜撰な文書管理は、どれもアジア文化賞担当課によるものばかりである。とりわけ決済印のない問題の命令書については、最近になって作成した可能性を否定できないいくつかの事実がある。
データマックスの指摘を受けた市側は、問題の文書によって過払いされた旅費の返金を命じるとしている。しかし、決済印がないままでは旅行自体が本当に行われたかどうかさえ証明できない。本来なら全額返金のケースである。そもそも、支出伺いの時点で、旅費計算を間違えたまま公費を支出することがあるのだろうか。別の旅行者の同じ旅費について金額の訂正がなされている以上、問題の命令書だけがノーチェックだったとは考えにくい。
次に、報じてきたとおり、問題の文書は最初の情報公開から「省かれて」いた。その1枚だけがである。隠してはならない部分が非開示になるなど、不完全な情報公開であるとして再度すべての文書の提供を受けたが、なぜかその中にも問題の文書は見当たらなかった。つまり別扱いだったということになる。「なかった」と言われても仕方があるまい。
最大の問題は、お手盛りとはいえ、「福岡アジア文化賞委員会」の内部監査で問題の文書が見落とされ、今年5月の市監査事務局の監査も素通りしている。誰が見ても未完成の文書であり、気付かなかったとは思えない。監査の折、同文書はなかったと見るのが自然であろう。
文書不存在の指摘を受け、最近になって作られた可能性が濃いが、そうなると違法性も生じる。都合の悪いことは隠す体質の市役所らしく、返金の指示についてさえ公表していない。不正の金額が小さければ市民に知らせる必要がないとでも思っているのだろうが、問題の文書がいつ作られたのかによっては、アジア文化賞担当課の存続問題にも波及するだろう。
市としてどのように考えているのか確認するため、市総務企画局国際部長に話を聞いた。
(つづく)
【市政取材班】