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【特集:「観光立国・九州」へ】ホテルオークラ福岡社長 徳安弘明氏(5)
特別取材
2009年11月25日 08:00

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ホテルは観光を映す鏡
対アジア戦略における使命

受地としての都市力

 ―今回のテーマの1つである道州制について、観光という点からどのように感じますか。

 徳安 道州制という新しい行政の仕組みは大賛成です。ただ、それが観光とどう関わるかという話になりますと、たとえば道州制を導入しなければ観光立国にならないというわけではないでしょう。あくまでも、観光誘致しながら道州制を目指すべきで、相乗効果を求めていくかたちが一番よいと思います。

 道州制実現に至るまでに紆余曲折があるのか、一気呵成にいくのかは分かりませんが、それぞれの地域でよいものを作り上げていこうというのが道州制の発想の根幹にあると思います。それは観光立国の発想と合致すると思いますし、行政システムとしては県単位よりも九州一体のほうが、子孫に残すものとしてやるべきだと思います。

 また、対アジア戦略という点では、道州制のもとであればより一体感を持って推し進められるかもしれません。机上の議論ばかりしていても難しいでしょうが、新しい酒は新しい革袋にと言いますから、日本を変えるよいチャンスだと思います。

 ―とくに福岡の場合、2008年以前と今では韓国の観光客が大きく減るなど環境がかなり変わりました。

 徳安 大きく言えば、これからはホスピタリティ(おもてなし)ができなければ、海外からの観光誘致は難しいでしょう。他力本願的に、ウォンが高いときだけ韓国から人がたくさんきて買い物していくといったことに依存していたらダメです。そうではなくて、ワントゥーワンのサービスが必要です。

 よくお国柄とか風土とか言いますが、たとえば中国国内でだけでも生活習慣から何から違いますよね。こうしたことにきめ細やかな対応をしていくことが、観光を受け入れる側に求められています。

 ―そのなかで、都市力を高め受地としての器を大きくしていく必要があります。

 徳安 我々の場合、福岡で都市力というものを盛り上げるために、ホテルという業種・業態で最大限の役割を果たせる方法を考えていくことが使命です。

 今後、ホテルはグローバルスタンダードを満たすものでなければ都市力を支えきれません。とくに、アメリカには非常にレベルが高いサービススタンダードがありますから、そういうものを超えられるホテルが各都市になければなりません。

 私どもは(株)ジェイティービーさんとA N A セールス(株)さんが毎年行なっている「お客さま満足度調査」で、2007年度に九州地区で顧客満足度ナンバーワンに選ばれました。そうした評価をすべてのホテルが目指すようにしていくことが、我々に課せられた役目の1つだと思っています。

 ホテルは、ギリシャ・ローマ時代からの長い歴史と伝統のなかで培われてきた、いわばヨーロッパ文化の華なのです。日本のホテルは、いたずらにまねるのではなく、日本人の美的な感性と日本文化を組み込み、東洋的なおもてなしの感動を提供することが観光立国に大いに貢献するのではないでしょうか。

(了)

【文・構成:大根田康介】


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