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東京レポート

武富士が大ピンチ 新規融資を停止 格付けはデフォルト寸前(下)
東京レポート
2009年12月 8日 08:00

有利子負債の圧縮
 武富士はかつて業界首位で、最盛期には1兆7,500億円の貸し出し残高を誇っていたことがある(09年9月末時点の貸出残高は7,489億円)。だが、過払い利息の返還に加え、規制強化、金融危機で経営が悪化。独立系で信用力が劣るため、回収の標的になった。
 武富士のキャッシュ・フロー計算書によると、有利子負債の削減が急ピッチに進んだ。

武富士 有利子負債の支出"

 07年4月から09年9月までの2年半の間に、長期借入金を3,432億円返済、社債を1,182億円償還した。長期借入金と社債の発行による収入はほとんどないため、武富士はひたすら弁済を続けたことになる。
 その結果、09年9月中間期現在で、有利子負債は2,983億円まで大幅に減った。それでも、1年以内に返済が必要な借り入れが1,890億円と、繰り上げ償還を請求できる転換社債が700億円あるため、手元資金の確保に努めているわけだ。

金融市場はシャットアウト
 武富士は、金融市場から直接資金を調達するのが困難となっている。CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)市場では、メガバンクの傘下に入っていない武富士の資金調達構造への不安から、スプレッド(売りと買いの間の価格差)が急拡大した。
 東京金融先物取引所が公表している「J-CDS」によると、武富士は4162.14ベーシスポイントと異常な数値を示している(12月4日時点)。年率に換算すれば、41.62%。これは、100億円の武富士向け債権を保有している金融機関は、年間41億6,200万円の保証料を支払わないと、損失肩代わりのCDS契約を結べないという意味である。
 機関投資家など金融のプロたちにとって、武富士の社債はあまりにもリスクが大きすぎて手を出せない、と判断しているのが、このCDS数値だ。
 武富士は、金融市場からの資金調達のパイプを閉ざされた。武富士には新規融資を停止、貸付金の回収を務める選択肢しか残されていない。

(了)

【日下 淳】


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