2010年1月12日、(株)ベスト電器(本社:福岡市博多区、代表:深澤政和)が大リストラ計画を発表した。1996年度までは家電量販業界で日本一の売上高を誇ってきた同社だが、それ以降は関東勢の進出や社内構造改革の遅れなどで経営が厳しいと言われ続けてきた。それでも、ここまでのピンチに陥ったことはなかったと思う。
当社の経済情報誌『I・B』も15年間で1500号に到達した。そのなかで、ベスト電器とはある意味で長い付き合いとなった。時には経営体制を厳しく批判し、時には消費者の声を伝えてきた。それでも声が届かなかったのか、あるいは聞く耳を持たなかったのか、旧態依然の体制を変えられず、結局は「天神家電戦争」(戦争にもならなかったが)を繰り広げたライバルである(株)ビックカメラ(本社:東京都豊島区、代表:宮嶋宏幸)の軍門に実質的に下ることになった。
地場の元気な企業がなくなっていくのは残念だ。ベスト電器が福岡経済界に大きな影響を与えたことは評価すべきだし、家電業界にも存在感を示してきたことは間違いないだろう。それだけに、改めてこれまでの経緯を総括し、家電業界の今後の動向も見据えたうえで同社について検証していくことには意味があるはずだ。
そこで、特別企画としてベスト電器について連載を始めたい。なお、『Net-IB』読者の皆様のご意見も広く集めたいと思う。ぜひ、https://www.data-max.co.jp/ask.htmlまで皆様の想いをぶつけてほしい。
【大根田 康介】
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