◇各自治体が発注方法の見直しと日之出以外の製品も認める動き
公正取引委員会による独禁法の疑いが晴れた日之出水道機器だったが、この問題が表面化して以降収益率が大幅に下落することとなった。
というのも、各自治体が発注方法の見直しを図り、同社の製品やパテントを有しない蓋でも性能的に問題がなければ発注する方向性を打ち出すところが増え、価格競争が激化してきたためだ。
福岡市でも、それまでマンホールの蓋が約7万円強だったのが、1万円台にまで価格が下落し、他の自治体でも同様なことが起きた。それまでのような利益水準の維持が出来なくなったのだ。
税金で無駄に高いものを毎年購入していたことは、各自治体にも大きな問題として残り、福岡市でも無駄に税金を使っていたことになるが、この部分にメスが入ったことは一歩前進と受け止めたい。
この結果、日之出水道機器は、08年、09年と連続して赤字に転落するなど、高収益体質はすでに過去のものとなっている。
受注単価の下落は売上にも影響し、05年3月期には遂に300億円台を割り込み、08年6月期はピーク時の30%減の250億円余りと、ここ数年業績は下降水位を余儀なくされている。
これまで破竹の勢いで業績を伸ばしてきた同社も、業績低迷の状態となり、ピーク時1,300人から抱えていた従業員は現在約1,000人と300人ほど削減されている。それでも、08年から09年と連続して赤字に転落するなど、価格競争という荒波に飲み込まれ、大きな岐路に立たされている。一刻も早く収益面での抜本的な対策を講じないと、豊富な資産を食い潰すことになりかねない状況だ。
(了)
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