昨年の12月、不適正表示で一躍注目を浴びた(株)アスカコーポレーション(福岡市博多区)。同社はHP上などでお詫びの文書を発表しているが、2010年に入り、『謹賀新年』と題した南部社長の新年挨拶とメッセージを掲載している。これを見ると、昨年の不祥事についてまったく触れられていない。触れられていないどころか、「ご期待ください」、「一生涯命をかけてのぞむ」など、前向きな言葉が次々と出てくる。またその文章のなかで、顧客よりも自社の利益を優先する考え方の企業が多いが、広い視野を持たないと企業として生き残る以前に存在する意義がない、という旨を述べるあたり、思わず吹き出してしまう人もいるのではないだろうか。農水省の指導後も不適正表示を続けて販売を行なってきた同社自身が、「自社の利益を優先」してきたと言えるだろう。実際、問題の商品は約26万人に販売され、総販売額は17億円にも上っている。この利益は膨大なものだ。
さらに、南部氏の中洲好きは有名であるが、先日も本社からすぐ近くの中洲に夜な夜な繰り出している。通常の経営者ならば、どうお客様にお詫びしていくかを考えるのだが――。アスカコーポレーションは農水省に対して、18日までに今回の事態をどう対策したかの措置を提出することになっている。その対策の措置も重要であるが、同社が今後どう変わっていくのかにも注目していく必要がある。
【宮野 秀夫】
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