◇フリーペーパーという文化を作った女性経営者
福岡に「フリーペーパー」なるものが登場して30数年。意外と言えば意外だが、フリーペーパーの歴史は長い。ただ、当時は今のような体裁ではなく、回覧板に毛が生えたようなものが多かったと言われている。現在、ちまたで発行されているフリーペーパーとは、商業ベースに基づいたものである。
商業ベース、とは、記事スペースが広告となる記事広告のことを指す。フリーペーパー登場以前の広告媒体と言えば、新聞広告、新聞折込チラシ、雑誌広告、テレビコマーシャルなど高額なものしかなかった。小規模な飲食店や美容室などにとって、数十万円の「投資」は、そう簡単に手が出せるものではない。しかし、それを可能にしたのが、商業ベースに基づいたフリーペーパーであった。
今からちょうど20年前、商業ベースのフリーペーパーが登場した。3万円から10万円の、比較的安価な記事広告枠を作ることで、前述のような飲食店や美容室などが広告を出稿できるようになったのだった。このような形態(フォーマット)での発行は日本でも初めてと言われた。この、商業ベースのフリーペーパーの発案者が、福岡市博多区で『ガリヤ』を発行する長澤由起子社長である。
ガリヤは1990年2月末に第一号が発行されて、2010年2月末で丸20年が経過した。21年目、241号に突入する。創刊当時のスタッフの多くは独立し、なかには新たなフリーペーパーを立ち上げた人たちもいる。創刊からいるスタッフは、長澤社長ただ一人。まさにフリーペーパーのパイオニアであり、生き字引的な存在である長澤社長だが、今、「創刊時の心境にいる」という。
広告を募集する営業編集スタッフは社長を含めて4名。社長を除けば、業界未経験の女性スタッフばかりとなった。かつては40名を超すスタッフを有し、文字通りフリーペーパーのパイオニアであり、リーディングカンパニーであったが、今、一つの転機を迎えようとしている。
【朝倉】
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