経営者としてなすべき仕事として、
「1.経営理念の確立」
「2.会社の経営未来像の構築」
「3.この未来像を実現のための中長期、年度計画の策定」
「4.年度経営計画達成のためのマネージメントの実行」
がある。
経営理念とは、経営者の人生観、事業感、使命感を凝縮させたものである。人間に例えれば、その人の人生観であり、生き様の思想や哲学にあたる。
積水ハウスの今日は、創業者と言っても過言でない田鍋氏によってスタートした。創業時の熱い思いは「お客さんに認めてもらえる価値ある商品、サービスを提供し、お客さんに喜んでもらいたい」という一念にあったはず。「お客さんため」の一念が、やがて世間から信頼を得て、社会の信認を得、今日の成長を築いたのである。
もし、金儲けに走っていたとしたら、今日の隆盛はなく、市場から消え去っていたことだろう。
会社とは、「社会のために役立つ」という創業者の「高い志と人格」が、法人格というかたちを取っているに過ぎない。田鍋氏の高い人格、熱い思いの社会的使命を明文化したものが「経営理念」である。
積水ハウスは根本哲学として、「人間愛」を掲げたのである。
目標として、「最高の品質と技術、住宅産業のリーダーであり続けるためには、質・量においても、名実ともに業界第1位でなければならない」と掲げている。企業の成果は、各事業所、各社員の実行力の高さに大きく依存する。社員のやる気ある実践力にかかっている。
今の経営者には、この部分大きく欠けているのではないのか。経営理念の行動理念を実践する「社員のやる気」がなければ、他社との競争には勝てない。
「敏なれば則ち功あり」。これは、敏速にことを処理すれば、必ず成績は上がるという意味の孔子の言葉だ。
社長の打ち出した方針が3日以内に全国の営業所や工場に行き渡り、それに対してのメリット・デメリットなどの意見が各地から上がり、それを評価、あるいは阻害要因を排除するなどして、すぐさま実行される。そのような組織になっていないと、会社の発展は望めない。
今日伸びている企業は、どこもこのような行動力を持っている。
【野口 孫子】
※この連載は積水ハウスに対してエールを送るものであり、誹謗中傷を目的とするものではありません。
*記事へのご意見はこちら