積水ハウスは、トップが絶大な権力を持っている。そのため、その指示は絶対的なものとして現場に行き渡る。すると現場では、その指示に対するメリットやデメリットの検証も行なわれず、結果として、デメリットがあったとしてもそれが排除されないまま実施に至っているのではないだろうか。このような組織では、会社の発展は望めない。
今日伸びている企業は、どこもオープンな意見が言えるような組織になっており、行動力を持っている。
次に、経営者が経営の未来像を、10年先、20年先まで具体的に示すことである。あらゆる物事がめまぐるしく変わる現代、「10年も20年も先が分かるか」ということにもなるが、「経営者の夢」、「社会への使命感」といったものを指し示すことが大事である。
人間は誰しも、生きている限り、自分や家族の生活向上を望んでいる。そのため、働きがいは会社の発展にかかっている。会社の発展のために何をすべきか、その答えを出せるのは、最高責任者である会長や社長なのである。経営者の意思によって、会社を将来どうするのかを社員に宣言し、協力を求める。社員は必ずその意図を理解し、立ち上がってくれるはずである。社員にとっては、経営者に協力して会社を発展させることこそ、自分自身のためになるからだ。
それこそが、創業者田鍋氏が常に言っていた「家族的経営」で、経営者と社員が一体となる事業経営が行なえたのである。
経営者が自社の未来像を掲げて「経営計画」立て、自らが先頭に立って奮闘する姿を見せることほど社員を奮起させるものはない。
積水ハウスの現経営トップは目先に追われ、ビジョンを示せないまま、結果主義を押し付け、組織が機能していないのではないか。
その次に中期計画。これは、3年くらいのスパンで、企業の目標、商品の市場戦略、それに対する設備、人員計画などの企業の革新を行なうこと目的としている。今後2~3年の市場動向やライバル企業の動向の将来予測を立て、自社の強みや弱みを把握、分析し、方針や目標を決めることだ。
積水ハウスの中期計画の問題点については、前述の通りである。環境や経済は刻々と変わるので、計画の手直しも必要だろう。
さらにその次に、年度経営計画の達成率の許容範囲は5%以内である。管理者は計画達成のマネージメントであり、計画達成のマネージャーであるべきだ。高度成長期、バブル時代に身につけた、「計画通り進まないことは仕方がないこと」と言う「計画未達成麻痺感覚」を排除せねばならない。よって、評論家的な管理者を排除し、「俺がやらねば誰がやる、やってやれないことはない」といったような、強い責任感と使命感を持った管理者を育てなければならない。
【野口 孫子】
※この連載は積水ハウスに対してエールを送るものであり、誹謗中傷を目的とするものではありません。
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