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積水・大和特集

セキスイWATCHING(16)~会長、社長のやるべきこと(1)
積水・大和特集
2010年3月 3日 15:07

 日々起こる危機から会社を救うのが、経営トップの仕事である。

 現在策定されている経営理念を、魂として中長期計画に吹き込んでいるだろうか。経営理念を経営計画に魂として吹き込むエネルギーは、高い志によるものと言われている。会長、社長の持つ世界観、歴史観、正義感、倫理観を磨き、揺らぐことのない使命感と理想を追求する心意気を持っているべきである。決して、名誉欲や金銭欲のために自分の地位を利用する、卑しいものであってはならない。

 会長や社長は、社業だけに長けていても務まらない。高い教養や高い志、倫理観、正義感を土台に持っていなければならない。
 人間は、権力を握ると変わってしまう。自分は威張らないと思っていても、権力を持てばまわりが自然と持ち上げ、気が付いたときには威張ってしまっているものである。
 嫌なことからは誰しも逃げたいのが本心。しかし、経営トップから「いや、まだ社長の出番ではないですよ」と言ってクレーム処理などの嫌なことを遠ざけ、解決しようとする気持ちを弱らせる「おべっか軍団」。これをやっつけるのがトップの仕事であり、そのための原動力となるのは高い志なのである。

 トヨタの豊田社長が、一時はアメリカ議会の公聴会に出なくてもいいのではないかという社内の雰囲気を押しのけ、自らトップとしての責任を果たすために出席した。堂々と真摯に謝罪、説明を行なったため、ひとまず納得の方向に向かっている。
 このことでわかるように、成長させるか衰退させるかは、トップの志次第なのだ。

 積水ハウスは、海外戦略を展開することを中期経営計画に入れている。世界を一つのマーケットとして捉えているということなのだろう。家や建築物について、世界を単一の市場と捉え、日本で成功したビジネスモデルに則って商品やサービスに値段をつけ、売り出していくということである。

 そして、その逆もある。世界から日本に進出してくるというのもあり得る。自動車、家電、通信、医療、など、国の境はない時代に突入している。住宅といえども、激しい競争にさらされる時代も近いのではないだろうか。

(つづく)

【野口 孫子】

※この連載は積水ハウスに対してエールを送るものであり、誹謗中傷を目的とするものではありません。

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