福岡県の玄海沖で行われている海砂採取の是非を問いたい。
「唐津湾海区砂採取協同組合」による「自民党佐賀県参院選挙区第2支部」(代表:岩永浩美参院議員)に対する2006年から今年にかけての計49万円の献金が、「中小企業等協同組合法」に違反する疑いが生じた。同法は、その第5条で《組合は、特定の政党のために利用してはならない》と規定しており、政党支部への献金が、協同組合を特定政党のために利用したこととなるからだが、この問題が「博多海砂採取協業組合」と「博多海砂販売協同組合」に飛び火した。
データマックスが政治資金収支報告書などで確認したところ、玄海沖で海砂を採取している福岡市内の11業者で構成される「博多海砂採取協業組合」(2007年3月までは「博多海砂採取協同組合」)と「博多海砂販売協同組合」が、「自民党福岡県福岡市早良区第4支部」(代表:津田隆士福岡市議)に対し、毎年それぞれ50万円を寄附していた。
少なくとも2004年から2009年までの6年間で、それぞれの組合から毎年50万円、計600万円が献金されている。問題の献金はこの分に当たる。
これとは別に組合に加入している11の業者からも、1社につき毎年25万円、6年間で合計1,650万円が献金されていた。海砂関連業者だけで毎年375万円、6年間で2,250万円となる。
博多海砂採取協業組合については、平成17年にその違法操業の実態を指摘、定められた掘削深1メートルが守られておらず、玄界灘の海底が凸凹の状態になっていることを報じた。
さらに、福岡県が海砂採取の実態調査を行いながら、公表していなかったことや、県が業務委託した玄海沖の調査では、「漁場価値の著しい低下」「回復に20年」「グミ(なまこの一種)の大量発生」など衝撃的な結果が報告されていたことも明らかとなった。
平成18年には、14社(当時)で組織された「博多海砂採取協同組合(当時の名称)」が、組合自ら定めた定款に、組合員の資格を「自己の採取船を保有し、砂の採取を行う事業者」と規定しながら、実際には4社しか採取船を保有していなかったことが判明。さらにそのうち2社は海砂採取業の県への登録をしていなかったという杜撰な実態が浮き彫りとなった。完全な違法行為である。
福岡県は前述の違法操業、そして違法組合の問題について、何の処分もせず、海砂採取は止まることなく続けられてきた。
佐賀県は、唐津湾海区砂採取協同組合による自民支部への献金が「中小企業等協同組合法」に抵触することを認めて改善指導を行うとされており、福岡の場合も同様の措置が取られると見られる。この際、環境を破壊する海砂採取の是非について、福岡県でも議論すべきであろう。
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