<本特集について>
2010年4月19日(月)、NetIB-NEWSは「激変時代の日本 地域自立の新ビジョン」シンポジウムをアクロス福岡にて開催しました。本記事では同シンポジウムのなかから新党大地代表・鈴木宗男氏による講演内容を一部抜粋して紹介します。
メリハリつけた無料化を
山﨑先生の考えには私は大賛成です。北海道は日本の面積の22%です。人口は、全人口1億2,500万人の約4.5%、575万人しかいません。
私は、北海道は新幹線よりも高速道路が大事だと思います。北海道には風光明媚な国立公園が6つもあります。世界遺産も知床があります。何といっても温泉があって、湖があり、きれいな山がある。春夏秋冬、四季折々の風景を醸し出している。食料自給率は、北海道は200%です。日本は40%ですから、その5倍もあるのです。
たとえば、釧路で獲れた魚をいち早く札幌に送れば、釧路で500円の魚が札幌では付加価値で2,000円になります。高速道路があれば、釧路から札幌までトラックでも4時間で運べます。今は高速道路がないから7時間かかります。ですから、活きも悪くなり付加価値が下がっちゃう。
私は観光産業を活かす意味でも、食料を活かす意味でも、高速道路の無料化というものはまさに地域再生の大きなキーだと思います。とくに九州と北海道は、非常に似ている環境条件ではないかと思います。
新幹線は函館までで良い。それから先、札幌まで1兆2,000億円使うのであれば、そのお金を道路に回す。北海道に高速道路はまだ55%しか敷かれていません。全国では7割くらいできています。もし北海道で7割整備されたらモノと人が集まります。その意味でも、高速道路を整備する必要があります。
人口は全国の4.5%しかいない北海道ですから、無料化しても渋滞にもならないし、CO2を大きく出すこともないでしょう。車の数が限定されていますから、そのあたりは地方に対しての優しさだとか、政策の配慮として、北海道は無料化にすべきだと思います。
ただ、札幌周辺だけは料金を取った方が良い。札幌周辺だけで北海道の人口の約半分いますから、ここは取ってもいいですね。私の田舎、足寄(あしょろ)というところは、夕張まで高速道路を無料化にしてもらっています。
私は山﨑さんの話を聞きながら、ぜひともしっかりとメリハリをつけた高速道路の無料化と、地方に対しての配慮を求めたいと感じました。
もう少し我慢してほしい
去年8月31日の選挙というのは、歴史的なものでした。それで本当に政権交代できたわけですから。大きな歴史の1ページですね。これは期待というのが高かった。ただ、期待が高いとやはり落差が大きいですね。しかし、まだ政権ができて7カ月ですよ。皆さんにお願いしたいのは、もう1年は我慢して見てほしいということです。
民主党は普天間問題でも財政問題でも予算でも、実はすべて自民党のツケを受け継いでいるのです。今年の予算だって、概算請求は自民党政権で行なった話ですから。民主党が手を付けたというのは70〜80億円しかないのです。
それと、マスコミの皆さま方は、野党にいるときは鳩山さんに優しかったけれど、与党になると権力側を追及する。これはマスコミの仕事の1つですけれどもね、自民党時代のマスコミの権力に対する姿勢よりも、鳩山さんに対してはさらにキツイかなと。それはやはり、大変な子ども手当をやっちゃったものですから、それに対する反発もあるのでしょうね。この点について鳩山さんは正直に説明責任を果たしましたが、収まるまでには時間がかかるかなと思います。
もう1つ、小沢さんについてもマスコミは公平でないと思います。よく「説明責任がない」と言いますが、小沢さんは十分に説明責任を果たしていますよ。法に触れることはしていない。やましいことはしていない。ゼネコンから不正なお金はもらっていない。この3点はずっと一貫していますよ。どれか1つでも、小沢さんが嘘をついたことがありますか。全部クリアしていますよ。これ以上の説明はどうするのですか。冷静によく考えてください。
小沢さんが「じゃあ、俺幹事長を辞めていいよ」となったら、民主党はバラけますよ。鳩山政権は持ちません。政治をよく知らない人が、小沢さんを批判しているのは間違いです。小沢さんのおかげで3年前の参議院選挙も勝ち、去年の選挙も勝ったのは事実なのです。
先日、北海道の帯広市というところで市長選挙がありました。人口は約18万人で、周辺の町村を入れると、約30万人近くです。そこで、民主党と新党大地の候補が勝ちました。これはとても良いことです。帯広は、小沢さんの秘書で逮捕された石川知裕さんの地元です。形勢は圧倒的に不利だったけれども勝ったのです。私は、あの地域の方々は冷静な判断をしたと思います。あまり心配することはない。やはり、民主党がキチッと固まっていれば案ずることはないと私は思っています。
【鈴木 宗男(すずき むねお)】
1948年、北海道・足寄町生まれ。拓殖大学卒業。衆議院議員・中川一郎の秘書としてスタートし、83年、衆議院議員選挙に初当選。その後、防衛政策次官、外務省政務次官、衆議院議員運営委員長、北海道・沖縄開発庁長官、内閣官房副長官、自由民主党副幹事長、同総務局長などを歴任。02年、斡旋収賄の容疑で逮捕され、03年保釈。05年9月の衆議院議員選挙で新党大地を旗揚げし、当選。09年9月、衆議院外務委員長に就任。
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